家族の介護を続ける中で限界を感じるようになったときに、どう対処すればいいか事前に考え、早期に計画を立てることは介護する側・される側どちらにとっても大切です。
この記事では、在宅介護に限界が生じるケースや無理なく継続するコツ、在宅介護が難しくなった場合の対処法について詳しく紹介していきます。
在宅介護で限界を感じる瞬間
介護される方にとって、在宅介護は、住み慣れた自宅で引き続き過ごすことができるなど大きなメリットがあります。
一方で、介護する方にとっては在宅介護の難しさを感じるタイミングもあるかもしれません。
まずは、在宅介護をしている人が限界を感じるケースについて見ていきましょう。
体力の消耗が激しい
在宅介護では介護する側に体力的な負担が生じやすくなります。
要介護度が高い方を介護する場合には、起き上がりや立ち上がり、移動、寝返りなどの介助をしなければなりません。
また、入浴介助を自宅で行うのもかなりの身体的負担になるものです。
体に負担のかかる介護をずっと続けていると、腰や膝、肩などを悪くする心配があります。
また、夜間の介護が増えると徐々に睡眠時間が削られてしまい、体力を十分に回復させることができなくなってしまいます。
休む暇がない
在宅介護では、つきっきりの介護になってしまうケースがよくあります。
特に「要介護度3以上の方を介護」する場合、危険なことがないかを四六時中見守る必要が生じます。
この状態が続くと、介護する側は次第に休む暇がなくなり、肉体的にも精神的にもどんどん疲弊してしまうのです。
先が見えない
在宅介護で「いつまでこの生活が続くんだろうか」と心理的な負担を抱える方もいます。
状況によって介護の期間は異なりますが、多くの場合介護は年単位で続きます。
10年を超えて在宅介護を続ける例も少なくありません。
長期的に介護をする中で介護される側の身体機能が衰え、ますます介護が大変になる可能性も十分考えられます。
また、介護する側が高齢になっていき、思ったように介護ができなくなることもあるかもしれません。
先が見えないことは、介護する側にとって途方もない不安要素だと思います。
今後のことを考える中で限界を感じてしまうという方もいることでしょう。
経済的な不安がある
家族を介護する中で、出費の不安を感じる方も少なくないでしょう。
それは、自宅で介護を始めるにあたって、介護ベッドや車椅子などの介護用品が必要となることに起因します。
また、自宅のバリアフリーリフォームを行うにあたっても一定の費用がかかります。
介護用品の購入費、医療費なども積み重なれば意外と高額になってしまうものです。
最近では、家族の介護を理由に退職する方が増えています。
介護離職をした場合、その後の収入が途絶えてしまうため経済的な不安がついてまわります。
在宅介護では補助制度や還付制度を使えることが多いですが、うまく制度を利用できずに金銭面の負担が膨れ上がるケースを想定して不安になるのも無理はありません。
在宅介護を無理なく続けるコツ
介護を全て完璧にこなそうとすると、頑張りすぎて限界を超えてしまう可能性があります。
介護が大変なときには仕事や家事はできる範囲にとどめ、無理をしないことが大切です。
家事の時短テクニックを取り入れたり、食洗機など家事が楽になるアイテムを導入したりなど、少しでも負担が軽くなるよう工夫して乗り切りましょう。
仕事をしながら在宅介護をするのなら、職場の理解を得ることが重要です。
急に休みを取る可能性があることを伝え、業務調整の協力をお願いできれば心理的負担を軽減できます。
また、思い切って介護休暇や介護休業を取るのもいい方法です。
ときにはじっくりと息抜きし、自分の時間を過ごすことも必要です。
他の家族に介護を代わってもらったり、デイサービスなどを利用して自分の時間を作ったりして心身をゆっくり休めましょう。
在宅介護に限界を感じたときの対処法
在宅介護に限界を感じているときには、以下のような対処法を試してみましょう。
身近な人に相談する
在宅介護に限界を感じたときは、無理をせず周囲の人に相談しましょう。
家族や親類、友人などに相談すれば、有益なアドバイスを受けられるかもしれません。
状況によっては、別居している家族、親類などが介護の手助けやサポートを申し出てくれる可能性もあるでしょう。
身近な人に相談して無理のない範囲で協力してもらえば、介護の負担が和らぎやすくなります。
相談窓口を頼る
介護に関する相談ができる窓口は意外と多いものです。
例えば市役所や区役所では、要介護認定の申請や介護保険制度の利用手続きに伴う相談を受け付けています。
窓口だけでなく、電話相談に応じている自治体もあるので、気になることがあれば相談してみましょう。
地域包括支援センターに介護のことを相談するのもおすすめの方法です。
地域包括支援センターは全国に5,000か所以上と数多くあるので、まずは近隣の相談窓口を頼ってみましょう。[注1]
介護が忙しく相談に足を運べないという場合、地域包括支援センターのスタッフが自宅を訪問してくれるケースもあります。
また、ケアマネージャーなどの支援を受けているときには、介護の困りごとを遠慮なく相談したいものです。
ケアマネージャーは介護の豊富な知識を持つプロなので、必要に応じて介護サービス事業者と連携して適切な対処をしてくれます。
>>[注1]厚生労働省「地域包括支援センターについて」P1(参照2023-11-27)
補助を利用する
在宅介護をする中で金銭的な負担を抱える方は少なくありません。
介護のために仕事を辞めたり時短勤務を選んだりした場合、家計をうまくやりくりできなくなる可能性もあります。
こういった問題を解消するためにも、さまざまな補助を活用しましょう。
例えば福祉用具の購入やレンタル、自宅のリフォームなどには補助金が使えるのが一般的です。
また、介護の状況が高額医療費制度や高額介護サービス費制度に合致するケースもあります。
条件に合っていれば、「介護休業給付金」や「家族介護慰労金」といったお金を受け取れることもあります。
上記に挙げたようなさまざまな補助を上手に使えば、金銭的な負担が和らぎ、日々の介護に余裕が生まれやすくなるかもしれません。
老人ホームを検討する
在宅介護に限界を感じたら老人ホームへの入居を検討しましょう。
在宅介護を行っている家族の中には、介護される側が自宅での生活にこだわったり、介護する側が「見捨てるようで心苦しい」と葛藤しているために、老人ホーム入居の計画がなかなか進まないというケースもあります。
しかし、限界を迎えた状況で踏ん張り続けた結果、介護者と要介護者が共倒れするリスクを考え、現実的な選択をするのも大切です。
老人ホームに対してネガティブなイメージを持つ方もいます。
とはいえ、資料を見たり見学をしてみることでイメージが変わるかもしれません。
限界を迎えてから老人ホーム探しを始めるのではなく、心理的・経済的にも余裕のある、元気な時期に少しずつ先々の計画を立てていきましょう。
【まとめ】在宅介護の限界が来る前に対処することが肝心!
自宅での介護を上手に続けている方でも、ときには負担を感じることがあると思います。
普段は問題ないと思っていても、体調を崩したり介護度が上がったりしたときに一気に限界が来る可能性は十分考えられます。
補助の活用や施設の利用などを視野に入れて、事前に先々の計画をしておけば、限界が来る前にスムーズに行動できるでしょう。
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