仕事と介護が両立できないなど介護者の負担が大きいときが、親を施設に入れるタイミングの一つです。
老人ホームや介護施設は探して実際に入居するまでに、一カ月程度時間がかかります。
そのため、親の状態が悪化したり、介護負担が限界に達したりする前に、施設を探し始めるのがポイントです。
本記事では、親を施設に入れるタイミングや入居手順、親に施設入居を相談する方法を解説します。
親を施設に入れるタイミング
介護者が目を離すと誤飲や転倒の危険があるなど、状態が悪化したときが親を施設に入れる目安の一つです。
それだけでなく、介護者の負担が強く、生活とのバランスが取れなかったり、肉体的にも精神的にも辛かったりするときも、施設への入居を早めに検討しましょう。
介護者が精神的にも肉体的にも辛いとき
在宅介護で身体的な疲労が取れない、夜中に奇声を発して精神的に参っているなど、このような肉体的・精神的疲労が蓄積しているときは、親を施設に入れることを考えましょう。
家で面倒を見たいからと頑張って介護を続けていると、介護者自身も限界に達し、介護うつや親へのネグレクトに発展する恐れがあります。
老老介護のときも早めに施設へ入れるように検討しましょう。
在宅介護が厳しいと感じたとき
現時点ではなんとか介護と仕事・育児を両立できているものの、体力や気持ちに余裕がないときも、施設への入居に向けた準備が必要です。
介護施設の入居には平均1ヵ月程度時間がかかります。
さらに、本人・家族との話し合いが進まなかったり、希望の施設が見つからなかったりすれば、さらに時間がかかる恐れもあります。
介護者にある程度余裕があるうちに動き始める方が良いでしょう。
親の介護状態が悪化したとき
認知症や持病などが悪化している、目を離すと誤飲の危険があるなど、昼夜問わず介護者がそばにいないと危険なときも、施設への入居準備を進めましょう。
歩行中の転倒や階段からの落下など、怪我や骨折も施設入居のきっかけになります。
親を施設に入れるときの入居手順
親を施設に入れるときは、以下の「5つ」の手順で進めていきます。
- 1.入居する親と家族で話し合う
- 2.施設情報を収集する
- 3.条件の整った施設を選ぶ
- 4.施設の見学や体験入居をする
- 5.契約後実際に入居する
それぞれ、詳しく解説します。
入居する親と家族で話し合う
入居する親の認知機能が衰えていないなら、まずは親も含め、家族全員で施設入居の話し合いをしましょう。
場合によっては、親が入居を拒み、スムーズに進まない恐れもあるため、本人の希望を事前に確認することが大切です。
介護者や親の兄弟・親戚にも入居の相談をしておきましょう。
話もせずに入居を進めると、後から難色を示される恐れがあります。
また、施設の入居には費用もかかるため、金銭面の負担も話し合っておくと良いでしょう。
施設情報を収集する
次に、希望する入居施設のおおまかな条件をまとめ、その上でそれぞれの施設の資料を請求しましょう。
なお、施設は見比べて検討するため、情報収集の段階では多くの施設に資料請求します。
「確認すべき条件」は以下のとおりです。
条件 | ポイント |
---|---|
立地 | 自宅に近いか、自然環境が豊かか。周辺施設は充実しているか |
居室タイプ | 完全個室か、多床室か。または、共同生活室を備えたユニット型か。 |
入居条件 | 要介護度、入居時の年齢、医療行為の必要性など、施設により入居条件が異なる。 |
医療・介護体制 | 介護サービスは24時間体制か、医療機関と連携はしているか。 |
共用施設 | 共用施設は充実しているか。(温泉、食堂、リハビリ室など。 |
費用 | 入居一時金、月額費用を確認。 |
条件の整った施設を選ぶ
集めた資料を見比べて、条件に合った施設をいくつかピックアップします。
しかし、条件にぴったり合う施設を見つけるのは難しいため、希望条件に優先順位をつけたり、必須条件を設けたりすると比べやすくなります。
特に、費用や自宅から施設への距離は重要な条件となります。
また、医療的ケアが必要な場合は、体制が十分でなければいけません。
看取りまで想定している場合、そのようなケアがあるかの確認も必要です。
施設の見学や体験入居をする
条件に合う施設を2~3程度に絞ったら、実際に施設を見学しましょう。
資料やホームページの内容と、実際の施設の状況は異なる可能性もあるため、見学は行った方が良いでしょう。
見学するときは、介護スタッフの様子、居室の間取りや清潔感、食事のバリエーションなど、一通り確認しましょう。
合わせて、「入居者の男女比・年齢・介護度」など、周りを確認することも大切です。
また、医療・介護体制など、気になるポイントは施設スタッフに確認しましょう。
入居時に必要になる書類や面談の内容なども確認しておくと後々スムーズです。
施設によっては体験入居をしていることもあります。
時間に余裕があるときは、一度入居して、実際の雰囲気を確かめるのもおすすめです。
契約後実際に入居する
入居したい施設が決まったら、申し込みを行いましょう。
戸籍謄本などの必要書類の提出・面談・入居審査の後、実際に入居します。
なお、必要になる書類などは施設により異なるので確認しましょう。
親を施設に入れるときの相談方法
親を施設に入れようと思っても、本人に拒否されることもあります。
介護が必要と認めたくない、自宅で最後まで過ごしたいなど理由はさまざまあるため、「本人の意志を尊重」しつつ話しを進めることが大切です。
介護施設に入る利点を話す
老人ホームや介護施設に否定的なイメージがあるときは、まずは介護施設に入る利点を説明しましょう。
現状よりも介護ケアを充実できること、温泉や美容室などの施設も充実していること、友人を作りやすいことなど、明るいイメージを伝えるのがおすすめです。
介護者ではなく、親のメリットを伝えることが大切です。
施設に入る必要性を第三者から伝える
親が介護の必要性を認めたがらないときは、主治医やケアマネジャーなど、第三者から客観的に伝えてもらうのも方法です。
子どもから直接、介護施設に入れると言われると見捨てられたと感じてしまい、拒否される恐れがあります。
第三者を交えることで、感情的にならず話しを聞いてもらえる可能性があります。
ショートステイの利用から始める
「ショートステイ」とは、在宅介護中に一時的に宿泊を伴う介護サービスを利用できる制度です。
住み慣れた自宅を離れたくないと言われたときは、ショートステイ(短期入所)から始めるのがおすすめです。
自宅が良いと思っていても、実際に施設に入ってみると、施設の方が過ごしやすいと感じるかもしれません。
何度が通ううちに安心感が出て、施設への抵抗がなくなる可能性もあります。
【まとめ】親を施設に入れるタイミングは早めに検討し動くことが大切!
介護者が肉体的にも精神的にも辛いときや、親が何かの拍子に怪我をしたときなどが施設に入れる代表的なタイミングです。
なお、老人ホームなどの施設に入居するまでには平均して1ヵ月程度時間がかかります。
介護疲れなど疲労が限界に達する前に、早めに行動するのがポイントです。
早めに動けば親も家族も納得できる施設を見つけやすいだけでなく、ショートステイなどである程度慣れてから入れるので、不安感を減らす上でも役立ちます。
施設探しには、「あなたらしく」の利用がおすすめです。
条件を絞って施設の検索ができるため、親だけでなく家族にとっても、好条件の施設が見つかりやすいことでしょう。