老人ホームといっても、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、軽費老人ホーム(ケアハウス)、特別養護老人ホーム(特養ホーム)など、さまざまな種類があります。
老人ホームを選ぶとき、どのような点を判断材料にすればよいのでしょうか。
本記事では、老人ホームを探している人向けに、老人ホームの「選び方」や「失敗しないための10のポイント」を紹介します。
老人ホームの選び方を10のポイントで解説
老人ホームを選ぶときのポイントは以下の「10点」です。
- 1. 老人ホームの種類や周辺環境で選ぶ
- 2. 老人ホームの雰囲気や入居者の状況で選ぶ
- 3. 老人ホームの経営状態や保険の加入状況で選ぶ
- 4. 老人ホームの居室や共用設備で選ぶ
- 5. 老人ホームの介護サービスで選ぶ
- 6. 老人ホームの生活サービスで選ぶ
- 7. 老人ホームの食事サービスで選ぶ
- 8. 老人ホームの健康管理や医療的ケアで選ぶ
- 9. 老人ホームの協力医療機関で選ぶ
- 10. 老人ホームの行事やレクリエーションで選ぶ
老人ホームに関する情報を入手する手段は、施設から配布される重要事項説明書の冊子や、見学・体験入居などがあります。
さまざまな情報を比較検討し、自分に合った老人ホームを選びましょう。
ここでは、東京都福祉保健局が作成した「あんしん なっとく 有料老人ホームの選び方」を参考にしながら、老人ホームを選ぶためのチェックリストを紹介します。[注1]
[注1]東京都福祉保健局「あんしん なっとく 有料老人ホームの選び方」P2-7
1. 老人ホームの種類や周辺環境で選ぶ
まずは老人ホームの種類や周辺環境を調べましょう。
老人ホームには、食事や生活サービス、介護サービスなどが提供される「有料老人ホーム」や、バリアフリー構造の住まいや生活支援が提供される「サービス付き高齢者向け住宅」、低所得者層の高齢者向けの「軽費老人ホーム(ケアハウス)」、要介護度が重い高齢者向けの「特別養護老人ホーム」など、さまざまな種類があります。
それぞれターゲットとする入居者が違うため、自分に合った施設を選択することが大切です。
また、老人ホームのアクセスのよさや周辺施設の充実度も考慮する必要があります。
東京都福祉保健局のガイドブックのとおり、老人ホームを選ぶときは以下の項目をチェックしましょう。
- 公共交通機関が近くにあるか
- 立地が入居希望者の好みや趣味に合っているか
- 近くに生活に便利な商店や施設などがあるか
- 家族や友人が訪ねやすいか
2. 老人ホームの雰囲気や入居者の状況で選ぶ
次に老人ホームの雰囲気を知るため、入居者の状況を調べましょう。
たとえば、過去1年間の退去者数が多かったり、退去理由におかしな点があったりする場合、老人ホームに何か問題がある可能性があります。
- 介護が必要な人がどの程度入居しているか
- 介護が必要な人がどのように過ごしているか
- 過去1年間の退去者数とその退去先・退去理由に問題がないか
3. 老人ホームの経営状態や保険の加入状況で選ぶ
老人ホームが倒産した場合、必要なサービスが受けられなかったり、前払金の返還が行われなかったりする可能性があります。
そのため、老人ホームの経営状態や保険の加入状況を調べておきましょう。
- 決算書や財務諸表は公開されているか
- 事故などに備えて、損害保険に加入しているか
- 前払金の保全はされているか
4. 老人ホームの居室や共用設備で選ぶ
老人ホームの居室や共用設備は、入居後の暮らしに大きく関わります。
東京都福祉保健局のチェックリストを参考にして、自身の希望や健康状態に合ったホームを選びましょう。
- 個室のみか、相部屋もあるのか
- 居室は家具を持ち込めるだけの広さがあるか
- 居室は、車いすを利用している場合などに動き回るのに十分な広さがあるか
- 入居者にとって必要な設備が居室内にあるか(トイレ、浴室、洗面台、介護用ベッド、冷暖房、電話回線、テレビ回線、ナースコール)
- 車いすや歩行器などの福祉用具は準備されているか
- 介護が必要となった場合や認知症が進行した場合、介護度が重くなった場合などに居室の移動があるか
- 居室を移動した場合の契約はどうなるのか(居室移動にともなう利用料金や居室仕様などの変更があるか)
5. 老人ホームの介護サービスで選ぶ
要支援・要介護の認定を受けた場合は、介護サービスが充実した老人ホームを選ぶことが大切です。
老人ホームによっては、介護サービスが基本サービスと個別選択サービスに分かれています。
それぞれのプランで受けられるサービスや頻度、料金の目安を確認しておきましょう。
また、終末期を老人ホームで過ごす予定の方は、看取りに対応できるかも確認する必要があります。
- サービス計画(ケアプラン)がどのように作成されるか
- 基本サービスとなっているのはどのようなサービスで、どの程度の頻度か
- 個別選択サービスとなっているのはどのようなサービスで、追加費用は必要か
- 自立入居者が病気やけがなどで一時的に介護が必要になった場合、どのように介護サービスを受けられるか
- 日中、夜間の見守りはどのような体制・人員配置か
- 病院への送迎・付き添いはあるか
- 看取りに対応できるか
6. 老人ホームの生活サービスで選ぶ
老人ホームで受けられる生活サービスも重要なチェックポイントです。
とくに生活支援が充実した住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅を利用する場合は、あらかじめ見学・体験入居などを行ってサービス内容を確認しましょう。
- 基本サービスとなっているのはどのようなサービスで、どの程度の頻度か
- 個別選択サービスとなっているのはどのようなサービスで、追加費用は必要か
7. 老人ホームの食事サービスで選ぶ
老人ホームに入居する場合、「朝・昼・夜」の3食や、間食のおやつなどの食事が提供されます。
持病を抱えている方や、健康上食事が難しい方は、糖尿病対応食や流動食など、専用の食事が提供されるか確認しましょう。
- 選択メニューがあるか
- 健康上の理由で通常の食事ができない入居者のための対応(糖尿病対応食や流動食など)が可能か、そのための追加料金は必要か
8. 老人ホームの健康管理や医療的ケアで選ぶ
入居予定の老人ホームでどのような医療的ケアを受けられるか確認しましょう。
たとえば、医師や看護師が常駐している老人ホームの場合、定期的なバイタルチェックや健康診断、服薬管理などのサービスが受けられます。
- バイタルチェック(検温・血圧測定など)は希望すればいつでも受けられるのか
- ホーム内で対応可能な医療的ケアはどのようなものか(医療的ケアができる職員は何人いるのか)
- 認知症が疑われる場合の診断や治療、また、その後の生活支援についての医療との連携はあるか
9. 老人ホームの協力医療機関で選ぶ
持病が悪化した場合などに備えて、専門医療機関への紹介がされているかも確認しましょう。
- 主治医がいる場合、主治医との連携をどのようにとれるか
- 必要に応じて専門医療機関への紹介がされているか
10. 老人ホームの行事やレクリエーションで選ぶ
また、入居者同士の交流や、家族が参加できるイベントに興味がある場合は、老人ホームの行事やレクリエーションについても調べましょう。
老人ホームによっては、日帰り旅行などの行事や、要支援・要介護状態でも参加可能なレクリエーションを開催している場合があります。
- 自分に合ったサークル活動があるのか、ない場合は作ることができるか
- 日帰り旅行などの年間行事はどうなっているか
- 要支援・要介護状態でも参加可能なものがあるか
- アクティビティなどの参加は自由にできるか
老人ホーム選びで失敗しないためのコツ
老人ホーム選びで失敗しないためのコツは、重要事項説明書の内容をきちんと確認することです。
重要事項説明書は、老人福祉法第29条で作成が義務づけられた書類で、老人ホームのサービス内容や利用料金、協力医療機関、介護士や看護師の人数などの情報が詳しく記載されています。
重要事項説明書をきちんと読み解くことで、「職員の人数が少なく、十分な生活支援を受けられなかった」「居室の広さや設備が十分でなく、窮屈な生活を強いられた」といったミスマッチを防ぐことができます。
老人ホームを選ぶときの具体的な流れ
老人ホームを選ぶときの手順は以下のとおりです。
- 1. 老人ホームの希望条件を整理する
- 2. 老人ホームの情報を収集する
- 3. 重要事項説明書を確認する
- 4. 資金計画を立てる
- 5. 見学や体験入居を申請する
まずは利用者本人や家族で話し合い、老人ホームに希望する条件を整理しましょう。
その後、老人ホームについての情報収集を行い、重要事項説明書の内容をきちんと確認します。
老人ホームの候補をある程度絞ったら、並行して資金計画も立てましょう。
また、見学や体験入居を申請して、施設の様子を自分の目で見てみることも大切です。
【まとめ】老人ホームの選び方を知り、失敗しないための老人ホーム選びを
老人ホームを探すときにチェックすべきポイントは「10個」あります。
重要事項説明書の冊子などを確認して、老人ホームの種類、周辺環境、雰囲気、入居者、経営状態、居室や共用設備、介護・生活・食事サービスの質など、さまざまな観点から比較検討することが大切です。
老人ホーム探しなら、「あなたらしく」の利用がおすすめです。
老人ホームのランキングや利用者の口コミなどを参考にして、自分に合った施設を選びましょう。