在宅介護のトラブル事例と対処方法をわかりやすく解説

2025年8月4日

在宅介護のトラブル事例と対処方法をわかりやすく解説

在宅介護は、住み慣れた家で必要な介護を受けられること、施設に入居するよりもコストを抑えられることなど、多くのメリットがあります。

 

一方で、在宅介護ならではのトラブルも報告されており、介護分野における大きな課題となっています。

 

今回は、在宅介護でよくある「トラブルの事例」や、「トラブルへの対処方法と防止方法」をまとめました。

 

今後在宅介護を検討されている方や、施設への入居を迷っている方はぜひ参考にしてください。

 

 

ナーシングホームとは医療ケアを提供する施設のこと

ナーシングホームとは医療ケアを提供する施設のこと
 

在宅介護ではさまざまなトラブルが発生しますが、ここではその中でも特に多いトラブルの事例を「5つ」ご紹介します。

 

サービス内容に関するトラブル

 
サービス内容に関するトラブルは、訪問介護サービスを利用する場合に起こりやすい事例です。

 

特に多いのは、利用者と訪問介護サービス事業者の間で、提供するサービス内容に食い違いが発生しているケースです。

 

訪問介護サービスでは利用者に対し、食事・排泄・入浴などの介護や、掃除や洗濯などの生活援助、通院を目的とした送迎などを行います。

 

ただし、訪問介護サービスはあくまで利用者が自立した日常生活を送れるようサポートすることを目的としたもので、直接利用者の援助に該当しないケースや、日常生活の援助の範囲を超えるサービスは提供していません。

 

例えば、利用者の家族の分の食事を準備する、飼っているペットの世話をする、といった行為は訪問介護のサービス対象外です。

 

しかし、サービス契約時の説明が不十分だったり、利用者がサービスの範囲内について十分に理解していなかったりすると、「頼んだことをやってくれない」という不満やストレスにつながり、サービス事業者やスタッフとの間でトラブルに発展する可能性もあります。

 

介護中の事故トラブル

 
介護をしている最中、被介護者がけがをしたり、誤飲や誤嚥などを起こしたりするケースは少なくありません。

 

具体的な事例として、階段や敷居につまずいて転倒・転落した、食事を喉につまらせた、入浴時にヒートショックを起こした、などが挙げられます。

 

このような事故が起こる原因は大きく分けて2つあり、1つは介護者の知識・技術不足です。

 

特に介護未経験の家族が介護を行う場合、適切な体位変換や移乗介助を行えず、事故リスクが高くなる傾向にあります。

 

また、ヒートショックなどについて十分な知識がない場合、浴室内と脱衣所の寒暖差に対して適切な対策を行えず、事故が起こってしまいます。

 

2つ目は、自宅が介護に適した環境になっていないことです。

 

バリアフリー化が徹底されている介護福祉施設などとは異なり、個人の自宅は勾配が急な階段があったり、あちこちに段差が設けられていたりするケースも少なくないため、必然的につまずきや転倒などのトラブルも発生しやすくなります。

 

被介護者と介護者の対立トラブル

 
在宅介護では、介護を受ける側(被介護者)と、介護する側(介護者)がコミュニケーションを取りながら介護を行う必要がありますが、両者の相性が悪いとストレスがたまったり、不快な思いをしたりする原因となります。

 

場合によっては口論や暴力行為などに発展するケースもあるようです。

 

物損・紛失トラブル

 
在宅介護では、しばしば被介護者の自宅にあるものが壊れた、なくなったというトラブルが発生します。

 

例えば、床に置いてあったものを踏んで壊してしまった、昨日まであったはずのものが見つからないなど。

 

後者に関しては、被介護者の自宅が散らかっていて目当てのものが見つからないというケースが多いですが、残念ながら過去には訪問介護に訪れたスタッフが窃盗したという事例も報告されています。

 

金銭トラブル

 
介護者に買い物の代行を頼んだ場合などに起こりやすいのが金銭トラブルです。

 

被介護者はあらかじめ介護者に代金を渡すのが一般的ですが、「お釣りを返してもらっていない」「頼んだものに対して残金が少ない」などのトラブルが発生した事例も少なからず存在します。

 

買い物を巡るトラブルは故意でないケースもありますが、金銭が関係していると少額であっても、もめ事が起こる原因となるので注意が必要です。

 

在宅介護のトラブルへの対処方法

在宅介護のトラブルへの対処方法
 

在宅介護でトラブルが発生した場合の具体的な対処方法を「4つ」ご紹介します。

 

本人にトラブルの内容や気持ちを確認する

 
被介護者が在宅介護に何らかの不満やストレスを感じているようなら、何が起こったのか、今後どうしたいのか、などを尋ねてみましょう。

 

相性やサービス内容への不服がトラブルの原因だった場合、話をじっくり聞いたり、サービス範囲について適切な説明を行ったりするだけでトラブルが解決する場合もあります。

 

サービス事業者に意見・クレームを入れる

 
訪問介護サービスの対応に問題がある場合は、泣き寝入りせず、サービス事業者に意見やクレームを入れるのも良いでしょう。

 

その際は、あらかじめ被介護者の意見や要望、トラブル内容などをしっかり把握し、建設的に意見を述べることが大切です。

 

感情的になってしまうと、トラブルの内容や根本的な原因を適切に伝えられず、解決までに時間を要する可能性があるので注意が必要です。

 

ケアマネジャーに相談する

 
ケアマネジャーとは、要介護者や要支援者の人からの相談を受けたり、適切なサービスを受けられるようケアプランを作成したりする役割を担う専門家のことです。

 

在宅介護では、まずケアマネジャーに相談し、被介護者に適したケアプランを作成してもらうのが一般的であるため、在宅介護で何らかのトラブルが発生した際の相談窓口として適任です。

 

ケアマネジャーは公正中立な立場として対応に当たってくれるため、「訪問介護サービス事業者に意見を言いたいけれど、気後れしてしまう」という場合は、間に入る第三者としてサポートしてもらうと良いでしょう。

 

老人ホームへの入所を検討する

 
「自宅が介護の環境に適していない」「家族に介護の経験がない」など、在宅介護ならではの問題がある場合は、老人ホームへの入所を検討するのも一つの方法です。

 

老人ホームならバリアフリーが徹底されていますし、介護の専門スタッフが常駐しているため、事故リスクの低減を期待できます。

 

ただし、施設によってサービス内容や設備の充実度に違いがあるため、ニーズに合ったところを選ぶことが大切です。

 

在宅介護のトラブルを防止する方法

在宅介護のトラブルを防止する方法
 

在宅介護のトラブルを未然に防ぐために実施したい対策を「2つ」ご紹介します。

 

被介護者と介護者の信頼づくりに努める

 
在宅介護では、被介護者と介護者(家族やヘルパーなど)の信頼関係を構築することが重要なポイントになります。

 

そのためには、両者がきちんとコミュニケーションを取り、被介護者が抱える不安や介護ニーズなどを洗い出さなければなりません。

 

事前のコミュニケーションが取れていれば、サービス内容に関する誤解や食い違いが生じるリスクも少なくなり、円滑に在宅介護を続けられるでしょう。

 

介護環境を整える

 
在宅介護を始める前に、自宅を介護に適した環境に整えておきましょう。

 

具体的には、段差を解消する、廊下やトイレに手すりを設ける、脱衣所にヒーターを設置するなど。

 

ただし、自宅のバリアフリー化には多額のコストと時間がかかるため、環境を整えるのが難しいと判断した場合は介護福祉施設の利用なども検討した方が良いでしょう。

 

なお、介護福祉施設の設備やサービス内容は施設ごとに異なるため、被介護者の体の状態や介護ニーズに適したところを選ぶ必要があります。

 

そのためには施設ごとの情報を収集し、比較する必要がありますが、「選ぶ基準が分からない」「情報収集の時間が取れない」という場合は施設探しのプロの力を借りましょう。

 

老人ホーム検索サイト「あなたらしく」では、老人ホーム探しの知識・経験が豊富なスタッフが地域ごとの老人ホームの情報をしっかり調査し、入居希望者の方に適した施設を探すお手伝いをします。

 

希望があれば施設見学の同行にも対応しているので、「在宅介護から老人ホームに切り替えたい」「どのような施設が合っているのか分からない」という方は、ぜひ「あなたらしく」の無料サポートサービスをご利用ください。

 

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