要介護認定は要介護1~5と要支援1、2の7段階に分けられています。
その中でも要介護4は、身体上または精神上の障害があり、日常的な動作についてサポートが必要な状態です。
この記事では、要介護4の認定基準や受けられる介護サービスについて解説します。
また、要介護5や要介護3との違いについても説明していきます。
要介護4の状態や認定基準
厚生労働省は、要介護認定や要支援の基準を細かく定めています。
まずは、要介護4の身体状況や認知能力、認定基準について見ていきましょう。
要介護4の身体状況
要介護4の方は、立ち上がりや歩行、着席といった基本的な動作がうまくいかないことがあります。
そのため、活動の際には家族や介護者によるサポートが必要です。
着替えや食事、トイレなどの行動がどの程度できるかには個人差がありますが、多くの場合一つひとつの行動にはかなり時間がかかってしまいます。
身体機能が減退している要介護4の方をご家族で介護するのはかなり困難です。
在宅介護が難しい場合には、宿泊を伴う介護サービスを利用したり、老人ホーム入居を検討したりと工夫しましょう。
要介護4の認知能力
要介護4の方は、認知機能や理解力が低下しているケースも少なくありません。
そのため、ときには徘徊や妄想、暴言といった認知症の症状が出てしまうことがあります。
道に迷ったり、金銭管理や服薬管理を間違ったりと、これまでできていたことができなくなる方もいます。
認知症の症状が見られる場合には、一人での留守番は危険です。
トラブル防止のためにも、家族などが見守りを行うか、介護サービスを利用することが肝心です。
要介護4の認定基準
要介護認定は、介護にかかる手間を時間に換算する、要介護認定等基準時間で算定されます。
要介護認定等基準時間には、生活介助や機能訓練関連行為、問題行動関連行為、医療関連行為などがすべて含まれます。
そして、これらにかかる時間の合計が90分以上110分未満、またはこれに相当する状態の場合、要介護認定4と判定されます(※)。
要介護認定を受ける際には、認定調査員や主治医によるチェックが実施されます。
また、介護にかかる時間を正確に測定するために、コンピュータを用いるケースも増えてきました。
要介護認定についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
『要介護認定はどのように行われるの?認定基準や仕組みを解説』
⇒ ご参照ください。
他の介護度との違い
要介護認定には1~5までの5段階があり、それぞれ状態が異なります。
ここからは、要介護4と要介護5、要介護3の違いについてチェックしていきましょう。
要介護5との違い
要介護5は、要介護4よりもさらに身体機能が低下した状態です。
要介護認定等基準時間は110分以上、またはそれに相当する状態とみなされ、生活のすべての場面において介護を必要としています。
要介護4の方は身体能力が低下しているものの、サポートをすれば体を起こすなどの動きができるケースが一般的です。
これに対して要介護5の方は基本的に寝たきりの状態となります。
生活に必要な動作が困難なため、食事や入浴、おむつ交換などさまざまなサポートが欠かせません。
要介護度4の方は認知能力の低下も見られますが、一定の意思疎通はできることがあります。
しかし要介護5の方の場合、会話などの意思疎通を行うのはかなり難しい状況です。
直近のことを記憶したり、日常的な意思決定をしたりすることもほぼ不可能なケースが多いとされています。
要介護3との違い
要介護3の方は、食事や入浴、トイレ、着替えなど生活のあらゆる行動に支援や介護を必要とします。
要介護3の方は足腰の力が弱っており、自力で立ち上がったり座ったりするのが困難です。
また、立ち上がったあとにもスムーズに歩行するのが難しく、第三者のサポートが必要となります。
要介護認定等基準時間の指標では、要介護3の介護にかかる時間は70分以上90分未満です(※)。
そのため、要介護認定等基準時間だけを見れば要介護3と要介護4はかなり近いように思えます。
しかし、要介護4は寝たきりに近い方が多いのに対し、要介護3の方は介助によって座ったり立ったりとある程度の身動きができるという違いがあります。
とはいえ、要介護3の方と要介護4の方が利用できる介護保険サービスの種類にはほとんど差異がありません。
ただし老人ホームによっては、より高度な介護を必要とする要介護4の方を優先的に受け入れることがあります。
要介護4で受けられるサービス
要介護4に認定された方や要介護4相当の方には、第三者の介護サポートが必要不可欠です。
要介護度が比較的重い場合、家族のみが付きっきりの介護を行うのは困難なので、無理せず福祉サービスを頼りましょう。
要介護度4の方が利用できる介護サービスには以下のようなものがあります。
福祉用具の貸与や購入サービス
福祉用具のレンタルや購入には介護保険が適用されます。
車椅子や歩行用の杖、歩行器のほか、介護ベッドも介護保険で利用可能です。
また、自宅内を安全に移動するために、スロープや移動用リフトを導入するケースも少なくありません。
腰掛け便座や入浴補助用具などを導入し、トイレやお風呂などの介護の負担を和らげるのも良い方法です。
在宅で受けられる介護サービス
要介護4の方が自宅で受けられるサービスとして、訪問介護が挙げられます。
訪問介護は、ホームヘルパーが自宅を訪れ、食事や入浴、トイレなどの介護、掃除や洗濯などの生活支援を行うサービスです。
また、訪問入浴介護や訪問看護、訪問看護といったサービスも利用可能です。
ほかに、定期巡回を受けられるサービス、夜間に訪問介護を受けられるサービスなどもあるので、必要に応じて利用してみましょう。
通いで受けられる介護サービス
日帰りで施設に通う介護サービスの代表例はデイサービス(通所介護)です。
デイサービス施設では、食事や入浴のサポートを受けられるほか、レクリエーションや機能訓練にも参加できます。
デイサービスには一般型のほか、認知症対応型や地域密着型といったさまざまな種類があります。
心身機能の維持回復を目指したい方は、デイケア(通所リハビリテーション)の利用もおすすめです。
宿泊の形で受けられる介護サービス
要介護4の方は、施設に短期間宿泊をして介護サービスを受けられる、ショートステイ(短期入所生活介護)を利用できます。
ショートステイは連続30日まで宿泊できるため、利用すれば介護をする家族の負担が大きく和らげることが可能です。
ほかに、通所を中心に訪問や宿泊を組み合わせる小規模多機能型居宅介護というサービスを利用する方もいます。
老人ホームなどの施設入居
要介護4の方は高度な介護を必要としているため、自宅での介護が難しいことがあります。
家族の負担が大きいと感じられるときには、老人ホームなどの施設の利用も検討しましょう。
要介護度が高い方は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設、介護医療院などを選んで入所しています。
また、認知症を抱えている方にはグループホーム(認知症対応型共同生活介護)という選択肢もあります。
さまざまな老人ホームを比較し、マッチする施設を探してみましょう。
要介護度の高い方を対象とした老人ホームをお探しなら「あなたらしく」をご活用ください。