老人ホームは、公的団体が運営する施設と、民間企業が運営する施設の2種類です。
運営主体の違いによって、施設の利用料金や設備の充実度、サービスの内容などは大きく変わってきます。
本記事では、民間と公的な老人ホームについて、その違いを詳しくご紹介します。
また、老人ホームごとの特徴についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
民間の老人ホームと公的な老人ホームの違い
まずは、民間施設と公的施設の違いについて、「4つ」の観点から紹介します。
入居条件の違い
社会福祉法人や自治体といった公的団体が運営する老人ホームは、社会福祉を充実させることが主要な目的です。
そのため、多くの公的施設では要介護度の高い方のケアや保護が重視されます。
施設によっては、自身での立ち上がりや歩行ができない方、入浴や排泄などについて全面的な介助が必要な方を多く受け入れることもあります。
一方で民間の施設は、身体状況を問わず幅広い方の入居を受け入れるケースが一般的です。
また、介護認定に該当しない自立の方、要支援の方を優先的に受け入れる民間施設も少なくありません。
入居費用の違い
公的な機関によって運営される老人ホームには、費用負担がそれほど重くないという特徴があります。
社会福祉法人や自治体には助成金や税制面の優遇などがあるため、費用を安く設定することが可能です。
条件によっては、低額の月額費用のみで入所できることもあります。
一方で民間の老人ホームは、経営という観点で運営されていることから入居費用が高く設定されるのが一般的です。
施設によっては数百万円、数千万円という入居費用がかかることもあります。
入居費用が高い分、ニーズに応じた多種多様なサービスやきめ細やかなケアが提供されるのが、民間施設の特徴です。
民間施設のすべてが高額というわけではなく、リーズナブルな入居費用を設定している施設も少なくありません。
設備の違い
居室や共用スペースなどの設備も、公的施設と民間施設では大きく異なります。
公的施設の居室は、近年ではプライバシー保護の観点から個室化が進んでいますが、多床室を提供する施設もまだまだたくさんあります。
また、居室に洗面台やトイレが設置されていないケースも少なくありません。
これに対して民間の老人ホームは、十分な広さの個室を備えていることがほとんどです。
また、室内に洗面台やトイレのほか、バスルームやミニキッチンなどを備えている施設もあります。
サービス内容の違い
民間の老人ホームでは、介護サービスや生活支援が主に提供されます。
施設によっては看護師や医師、リハビリ担当者などが常駐していないこともあります。
一方で民間施設は、入居者がより快適に生活できるよう、充実したサービスを提供するのが一般的です。
食事の内容にこだわったり、リハビリテーションに力を入れたりと、ほかの老人ホームとの差別化を図っている施設も少なくありません。
老人ホームごとの特徴についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
『【一覧表あり】老人ホームの種類とそれぞれの特徴』
⇒ ご参照ください。
代表的な民間老人ホームの種類
ここからは、民間の老人ホームを「5種類」、紹介していきます。
介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームは、24時間体制の手厚いケアを受けられる民間施設です。
要介護以上の方を受け入れる、要支援の方を受け入れるなど、入居条件は施設ごとに異なります。
入居後には食事や入浴、掃除や着替えなどの手厚いサービスが提供されます。
民間施設である介護付有料老人ホームでは、入居時に支払う一時金のほか、月額料金や介護サービス費などがかかることが一般的です。
設備や食事内容が豪華な高級老人ホームの場合、入居一時金が数千万円に達するケースもあります。
住居型有料老人ホーム
住居型老人ホームは、食事や掃除といった日常生活をサポートしてくれる施設です。
介護サービスはほとんど提供されないため、入居できるのは自立の方や介護度が低い方のみとなっています。
レクリエーションやイベントが活発な施設を選べば、充実した時間を過ごすことができます。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは介護を必要としない自立の方を対象とした施設で、一般的なマンションと似通っています。
生活サポートを受けながら優雅な老後生活を送ることができるのが、健康型有料老人ホームの大きな特徴です。
ただし、要介護状態となった場合には退去を求められることがあります。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、高齢者が暮らしやすいよう設計された賃貸住宅です。
施設はバリアフリー設計となっており、介護スタッフや生活相談員によるサポートを受けられるのが特徴です。
介護サービスが提供されない一般型のほか、介護士が常駐している介護型の施設もあります。
グループホーム
グループホームは認知症を抱える方を対象とした民間施設です。
入居できるのは要支援2以上、65歳以上の方で、認知症と診断されている方に限られます。
大人数での生活を苦手とする認知症の方のために、少人数での共同生活が提供されています。
代表的な公的老人ホームの種類
続いて、公的な老人ホームを「5種類」ご紹介します。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は要介護者を対象とした老人ホームで、介護老人福祉施設とも呼ばれます。
入所できるのは原則として要介護3以上、65歳以上の方に限られますが、特定疾病に該当する場合は40歳以上64歳以下の方も入所可能です(※)。
特養には介護職員のほか栄養士や機能訓練指導員、生活相談員などが在籍しています。
手厚いケアを受けられることや月額費用が比較的安く抑えられていることが、特養の魅力です。
そのため特養は人気が高く、地域によっては入居待ちの状態が続いていることもあります。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は老健とも呼ばれる施設で、要介護1以上の方を対象としています。
老健の大きな特徴は、終身利用ができず、あとあと自宅に戻って生活することを前提としているという点です。
入居期間は一般的に「3~10カ月ほど」とされており、入居中にはリハビリテーションを重視したケアが提供されます。
介護医療院
医療的ケアを必要とする要介護者を対象としている介護医療院は、2017年度末で廃止された介護療養型医療施設の後継施設です。
一般的な老人ホームには医師が常駐していないため、緊急時の対応は難しいのが現状です。
しかし介護医療院には医師や看護師が配置されているため、もしものときにも迅速に対応してもらえます。
一般型ケアハウス
ケアハウスは軽費老人ホームC型とも呼ばれる施設で、費用が比較的リーズナブルなのが特徴的です。
ケアハウスの中でも一般型と呼ばれる施設は、60歳以上の方を対象としています。
家庭環境や住宅事情などの都合で自立した生活に不安を抱える方を対象に、日常生活の支援が行われています。
ただし、食事や洗濯、掃除などのサポートを受けられる一方、積極的な介護は実施されていない場合が多いです。
介護型ケアハウス
介護型ケアハウスは、65歳以上かつ要介護度1の方を対象とした公的施設です。
一般型ケアハウスで提供される生活支援に加え、入浴や排泄などの介護サービスを受けることもできます。
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