「ホスピス」は、終末期の方やそのご家族のケアを目的とした施設です。
人生の最終段階を穏やかに過ごすためにも、丁寧なケアを受けられるホスピスを選びましょう。
今回は、「ホスピスの選び方」について詳しく解説します。
また、ホスピスではなく老人ホームを選ぶべきケースについてもご紹介します。
ホスピスをお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。
ホスピスとは?
ホスピスとは、末期がんや難病などを抱えている方が人生の最期を過ごすための場所です。
ホスピスへの入所後は、苦痛を和らげる治療やケアが受けられます。
なお、ホスピスに入所する条件は施設によって異なります。
末期がんやエイズなどの根治が難しい病状の方や、手術や抗がん剤などの治療を望まない方などがホスピスを利用するケースが多いでしょう。
日本国内ではこれまで、病院の緩和ケア病棟がホスピスの役割を担ってきました。
しかし、近年は老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などがホスピスを提供するケースも増えています。
人生の最期を穏やかに迎えたい、痛みを緩和しながら心静かに過ごしたい場合には、ホスピスへの入所が一つの選択肢となるでしょう。
ホスピスの選び方を7つのポイントで解説
ホスピスにはさまざまな形態があるため、ミスマッチが起きないよう、選び方には十分に注意しましょう。
ここからは、「ホスピスを選ぶ際にチェックしたいポイント」をご紹介します。
1. ホスピスの提供形態をチェックする
ホスピスには、専門のホスピス施設の他、病院内に緩和ケア病棟の形で設置されるタイプもあります。
病院内の緩和ケア病棟のホスピスは、医療機関の一部として緩和ケアを提供しています。
そのため、医師や看護師の判断のもと、適切なケアを受けられるのが病院内ホスピスの特徴です。
専門のホスピス施設を選べば、アットホームな空間で過ごせます。
病院とは異なる穏やかな雰囲気で、リラックスして過ごしたい方には、専門のホスピス施設が向いています。
2. 訪問ホスピスという選択肢も検討する
終末期を自宅で過ごしたいとお考えなら、訪問ホスピスの利用を検討してみましょう。
訪問ホスピスとは、専門のケアチームが自宅を訪れ、緩和ケアのサービスを提供する形態です。
「最期まで自宅にいたい」と望む方は多いです。
そのような場合に訪問ホスピスを選べば、住み慣れた自宅で最期を迎えることも可能となります。
3. どのような事業者が経営しているかを確認する
ホスピスの多くは、医療機関や介護の事業所などによって提供されています。
そのため、ホスピスを選ぶ際は、提供している事業所の経営状態や評判などを十分に確認することが大切です。
ホスピスへの入居を考えているときは、かかりつけ医やがん相談支援センター、がん相談ホットライン、地域包括支援センターなどに相談すると良いでしょう。
紹介を受ける際には、そのホスピスの特徴や評判を尋ねてみるのをおすすめします。
4. 費用をチェックする
ホスピスの利用費用は施設によって大きく異なります。
医療保険が適用になる場合は費用をある程度抑えられますが、それでも自費負担は発生します。
ホスピスに申し込む際には、利用費用がいくらになるかを前もって確認しておきましょう。
5. アクセスをチェックする
自宅からアクセスしやすい場所にあるホスピスを選ぶのも良い方法です。
自宅の近くにあるホスピスであれば、日常的に家族と顔を合わせやすくなります。
さらに、もしものときにすぐに駆けつけられるのも、アクセスの良いホスピスを選ぶメリットです。
6. 入所期間、入院期間を確認する
ホスピスの入所期間や入院期間も施設によって異なります。
期間を確認せずに入所、入院した場合、施設での生活に慣れてきた頃に退所を求められるリスクも考えられます。
「1カ月以内」など、ごく短期間しか利用できないホスピスも多いです。
入居したいホスピスを見つけたら、利用できる期間についてもしっかり確認しておきましょう。
7. ケアの充実度をチェックする
充実したケアを受けられるかどうかも、ホスピス選びの重要なポイントです。
医師や看護師が常駐しており、24時間態勢でケアを受けられるようになっている施設であれば、いざというときに助けを求めやすいでしょう。
また、家族の負担を減らすサポートを提供している施設を選ぶのもおすすめです。
近隣で老人ホームをお探しなら以下の記事も参考にしてみてください。
『老人ホームの探し方は?相談先や探す手順について解説』
⇒ ご参照ください。
老人ホームを選ぶべきケース
ホスピスは、主に末期がんの方や難病の方が穏やかな最期を迎えるための施設です。
しかし、がんや難病を抱えている全ての方にホスピスが向いている訳ではありません。
状況に応じて、ホスピスを選ぶか老人ホームへ入居するかを見極めることが大切です。
ここからは、「老人ホームを選んだほうが良いケース」について解説します。
医療依存度が低い方
ホスピスは残された時間を穏やかに過ごすための場所です。
ホスピスの入所の対象となるのは、主に、終末期であることを医者から告知された方や、通常治療が行き届かないほど病状が進行している方などです。
また、末期がんやエイズなどの難病を抱えている方のみを対象としているホスピスも少なくありません。
病気を抱えているものの、医療依存度がそれほど高くない場合は、老人ホームに入所してケアを受けたほうが良いでしょう。
病気の治療をしたい方
がんや難病の治療をしたいと考えている方には、ホスピスはあまり向いていません。
ホスピスは基本的に、病気の治療は行わず、痛みや苦痛を和らげるためのケアのみを行います。
特に、がんを抱える方は痛みを訴えることがあるため、ホスピスでは鎮痛剤や医療用麻薬などを使って痛みを和らげる処置をします。
苦痛の緩和のみを希望する場合には、ホスピスに入所してもそれほど問題はないでしょう。
しかし、病の根治や回復を目指すのであれば、病院への入院か、医療ケアを受けられる老人ホームへの入所を考えたほうが良いでしょう。
費用面の心配がある方
病院や介護施設のホスピスを利用した場合、費用が高額になるリスクが考えられます。
ホスピスの入院料には保険が適用されますが、所得の状況によっては、月ごとの利用費用が10万円を超えるかもしれません。
また、状況によっては食事代や差額ベッド料、おむつ代、看取りのための費用などの請求も加わります。
費用面の心配がある場合には、ホスピスではなく老人ホームを選んだほうが良いかもしれません。
ただし、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの民間施設は、費用が高めに設定されることがほとんどです。
安価で老人ホームを利用したい場合には、公的な施設を選んで入居するのがおすすめです。
長期的に入所したい方
病院内の緩和ケア病棟のようなホスピスは、短期間の利用を想定しています。
滞在期間を30日と設定している施設も多く、入院期間が長くなると退院を促される可能性があります。
緩和ケア病棟のようなホスピスは、需要が高いにもかかわらず数が少ないです。
多くの人を受け入れたいという考えから、緩和ケア病棟のホスピスケアの多くは長期入院を断っているのが現状のようです。
施設で長期的に生活したいとお考えなら、期間の定めのない老人ホームを選んで入居してみましょう。
自分に合うケアを受けられる老人ホームをお探しなら「あなたらしく」をご活用ください。