厚生労働省の調べでは同居の主な介護者について、日常生活での悩みやストレスが「ある」と回答した人は全体の6割にのぼっているのが現状です。
[注1]在宅介護は、場合によっては何年も続く可能性があり、長期間にわたってストレスを抱え続けると、介護する側にも大きな負担がかかってしまいます。
そこで本記事では、「在宅介護のストレスを解消するコツ」や、「介護ストレスを軽減する方法」、「ストレスに耐えられなくなった場合の対処法」について解説します。
>>[注1]厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査の概況 Ⅳ介護の状況」
在宅介護のストレスを解消するコツ
在宅介護をしている間にストレスを感じたら、以下の方法を実践してみましょう。
第三者に悩みを聞いてもらう
ストレスを一人で抱え込んでいると、なかなか悩みや不満を消化することができず、ストレスがどんどん蓄積してしまう原因となります。
辛いことや吐き出したいことがあったら、家族や友人などに悩みを聞いてもらい、胸の中に溜め込んだストレスや不安を少しでも言葉に出してみましょう。
たとえ介護自体の問題が解決しなくても、悩みや不安を打ち明けるだけで心が軽くなることもあります。
ただ、介護の話はデリケートな問題なので、近しい人に話すのは抵抗があるという方も少なくありません。
そのようなときは、高齢者の暮らしを総合的にサポートする地域包括支援センターや、居宅介護支援事業所に在籍するケアマネジャー(介護支援専門員)、厚生労働大臣から委嘱された地域のボランティアである民生委員などに相談するのも一つの方法です。
また、お住まいの地域によっては、在宅介護をしている方が集まって悩みや不安を話し合える会が開催されているところもあります。
同じ悩みを抱えている方同士で気持ちや情報を共有し合えば、「自分一人ではない」という思いが強くなり、心の支えになるでしょう。
好きなことをして過ごす
一日中介護のことを考えて過ごしていると、慢性的にストレスを抱えやすくなります。
一日のうち、少しだけでも自分の時間を持てるようにし、好きなことをして過ごすとストレス解消になります。
具体的には、好きな音楽を聴いて過ごしたり、美味しいものを食べたり、などです。
興味・関心のあることや趣味に取り組めば、介護から少し離れて心身をリフレッシュすることができます。
一度その場を離れて気持ちを落ち着かせる
介護中にストレスやイライラを感じたら、一旦その場を離れ、気持ちを落ち着かせましょう。
大きく深呼吸を繰り返すと、ストレスやイライラが徐々に緩和されていくはずです。
なお、その場を離れるときは介護対象者に一言「すぐ戻るから」などと告げておくのがポイントです。
何も言わずに立ち去ると、相手に不安や不信を抱かせてしまう原因になり、後に無用なトラブルを引き起こすこともあるので注意しましょう。
介護について適切な知識を身につける
初めて介護を行う場合、入浴介助や排泄介助などをスムーズに行えないこと自体にストレスを感じることがあります。
そのようなときは、介護について適切な知識を学んでみましょう。
よりスムーズで手間のかからない介助の仕方を習得すれば、心や身体にかかる負担も少なくなり、ストレス解消につながります。
介助の仕方はインターネットや本で調べられる他、自治体で在宅介護を行っている方向けの教室や講座を開いているところもあるので、役所に問い合わせてみることをおすすめします。
介護ストレスが溜まる原因について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
『介護ストレスの原因は?軽減方法や予防方法を分かりやすく紹介』
⇒ ご参照ください。
介護ストレスを軽減する方法
介護ストレスが溜まる前に、ストレスを貯めない・軽くするのに役立つ方法を「4つ」ご紹介します。
1. 介護への意識を変える
介護を行う人は、「自分が頑張らなければ」と無意識の間に自身を追い込んでしまいがちです。
すでに説明した通り、ご自身の生活を切り盛りしながら、並行して介護を行うのは非常に難しいことなので、一人で無理をしすぎるのは禁物です。
気負いすぎる傾向にある方は、「頑張りすぎるのは良くない」「少し休んでも大丈夫」など、介護への意識を変えてみるところから始めてみましょう。
2. ストレスサインに敏感になる
ストレスサインとは、ストレスを感じた際、心や身体に起こる変化のことです。
ストレスが慢性化すると、ご自分がストレスを抱えていること自体に気付きにくくなり、やがてうつ症状などを引き起こす要因になることもあります。
ご自分がストレスを受けたときにどのように感じるか、体にどういった変化が生じるかなどをあらかじめ認識しておき、サインが現れたらなるべく早めに対処するよう心がけましょう。
ストレスサインには個人差がありますが、一般的には以下のような症状が現れることが多いようです。
- ちょっとしたことでイライラするようになった
- 気分が落ち込んで、なかなか浮上できない
- 人に会うのがおっくうになった
- 肩こりや頭痛、腰痛などの痛みが慢性的にある
- 寝付きが悪い、眠りが浅い
- 食欲がなくなる、あるいは食べすぎる
- めまいや耳鳴りが続く
- 下痢・便秘など腸内トラブルが続く
3. 周囲からサポートを受ける
ご自分の生活を回しながら、同時に介護もこなすことは決して簡単なことではありません。
一人で全てを担おうとすると、心も身体も疲れ切ってしまうので、無理をせず周囲からサポートを受けることも検討しましょう。
例えば、身近な兄弟姉妹や親戚に相談したり、居宅サービスや地域密着型サービスといった介護保険サービスを利用したりすれば、介護負担が減り、ストレスの蓄積も予防できるでしょう。
4. 他の人と比べない
介護の原因となる病気や介護を行う環境は、個人差や世帯差が大きいものです。
他の人と比べて「あの人たちはうちよりも楽そう」「あそこの家は助けてくれる人がたくさんいてうらやましい」などとネガティブな気分に陥ると、ストレスを溜め込みやすくなります。
他の人・家庭とむやみに比較するのではなく、ご自分のことや、ご自身の家族と向き合って、どのように介護をしていくのがベストなのか、模索していくことが大切です。
在宅介護のストレスに耐えられなくなったら?
ここまで在宅介護のストレスを解消したり、軽減したりする方法をご紹介してきましたが、介護のストレスをゼロにするのは非常に難しいことです。
介護が長期にわたるほど、ストレスがどんどん蓄積され、解消が追いつかなくなることもあるでしょう。
そのようなときは無理をせず、「介護施設への入居を検討する」のも一つの方法です。
介護施設には、医師や看護師、介護士、ケアマネジャーなど介護の専門家が常駐しており、利用者・入居者の状態に応じて適切なケアやサポートを行ってくれます。
介護施設の利用には費用がかかりますが、介護保険サービスなら保険が適用されますし、利用する施設によっては医療費控除の対象になるサービスもあります。
なお、費用やサービス内容、設備、入居条件などは施設によって異なるので、予算や利用者のニーズ、状態に適した施設を見つけることが大切です。
「あなたらしく」では、介護施設の利用・入居を希望する方に、ニーズや予算などの条件に合った施設を探すお手伝いをいたします。
スタッフが公正中立な立場から、客観的に見て条件に適した施設を提案するので、介護疲れで施設への入居を検討されている方は、ぜひ「あなたらしく」をご利用ください。