家族を在宅介護する際には、必要な物品を揃えたり、介護しやすい環境を整えたりする準備が不可欠です。
十分な準備が整わないまま介護を始めてしまうと、後々不便を感じることになるかもしれません。
そこで今回は、「在宅介護を始める前に必要な準備」について詳しく紹介します。
また、介護中に気を付けるべきポイントや、介護に関するお悩みを解決するためのアドバイスもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
在宅介護に必要な準備
在宅介護をスタートさせる際には、以下のような「準備」を進めていきましょう。
介護保険の利用申請をする
在宅介護を始める際にはまず、介護保険の利用申請を行いましょう。
介護保険への加入は「40歳以上」の国民に義務付けられています。
そのため、利用が必要なタイミングで申請すれば、一定の介護サービスの費用補助を受けることが可能です。
介護保険の利用申請ではまず、市区町村の窓口で要支援・要介護認定を受ける必要があります。
申請やその後の手続きについては、専門の担当者またはケアマネージャーが丁寧に解説してくれるので心配はいりません。
なお、申請から認定までにはおよそ1カ月の時間がかかるので、早めに準備を進めておくのがポイントです。
介護しやすい環境を整える
自宅の環境を整えることも在宅介護の重要なポイントです。
介護する部屋は、バスルームやトイレに近く、風通しや日当たりのよい場所が理想です。
住宅内で不便な場所がある場合には、段差をなくす工事やドアを引き戸にするなどの工事をしておきましょう。
バリアフリー工事は介護保険が適用になることもあるので、事前に確認しておくことが大切です。
介護用品を揃える
より快適な環境を作るためにも、必要な介護用品を準備しておきましょう。
在宅介護をする際には、電動ベッドや車椅子、歩行器などを準備しておくと便利です。
また、必要に応じてポータブルトイレやシャワーチェアなども揃えておきましょう。
介護用品の中にはかなり高額なものもあるため、購入が難しい場合にはレンタルサービスを活用するのがおすすめです。
ほかに、見守りカメラや家族を呼ぶためのブザー、食事しやすい食器類、おむつなども必要に応じて準備しましょう。
介護に必要な費用を準備する
在宅介護では介護保険を利用できますが、それでも一部の金銭的負担は避けられません。
介護を続けるためには、介護用品の購入やバリアフリー工事の費用、さらには介護保険サービスの利用料や介護用品のレンタル料など、さまざまな支出が必要です。
また、介護サービスを利用する際にも一定の費用が発生します。
できるだけ元気なうちに資金を準備しておけば、急に介護が必要になった場合でも、安心して対応できるでしょう。
在宅介護に関する注意点
在宅介護は、介護する方の体や心に負担を与えます。
車椅子やベッドからの移動やおむつ交換、トイレの付き添いなどでは大人の体を支える必要があり、介護する方の腕や腰には大きなダメージが及んでしまいます。
また、夜間に起こされて介護をすることも多く、寝不足の状態が続いてしまう方も少なくありません。
認知症を抱えている方とのコミュニケーションがうまくいかず、精神的なストレスが溜まってしまうこともあるでしょう。
在宅介護が長く続くと、家族には経済的な負担もかかってしまいます。
在宅介護の負担が大きくなると、介護者が体調を崩したり介護うつになったりするリスクが高まります。
介護の負担が原因で共倒れが起きると、最悪の場合介護する方が不在になってしまうかもしれません。
介護をきっかけとした離職や離婚などで生活環境が大きく変わってしまうケースもあるでしょう。
家族の在宅介護をする際には決して無理をせず、必要に応じて周囲の手を借りるなどの工夫をしてみましょう。
在宅介護に関するお悩みが生じたときには、こちらの記事もぜひご覧ください。
『介護の悩みはどう解決すべき?よくある悩みや相談先を紹介』
⇒ ご参照ください。
無理なく介護を継続するコツ
在宅介護の負担が大きくなると、家族の生活が立ち行かなくなるおそれがあります。
ここからは、長期的に介護を続けていくための「コツ」について考えていきましょう。
頑張りすぎない
介護をしなければという意識から、つい頑張りすぎてしまう方は少なくありません。
しかし、介護に注力しすぎると介護する側の生活が犠牲になってしまうおそれがあります。
介護はいつまで続くか分からないため、頑張りすぎると疲れやストレスが溜まり、介護うつのような状態になってしまう可能性も考えられます。
一生懸命になったり完璧を求めたりするのは避け、ときには息抜きをするなどの工夫をしながら乗り切りましょう。
情報を集める
在宅介護に関する情報を積極的に集めることも、介護を長く続けていくためのポイントです。
地域包括支援センターや近隣の介護施設、ケアマネージャーなど、介護に関する疑問やお悩みを相談できる窓口はいくつもあります。
介護の知識を豊富に持つプロに相談すれば、適切なアドバイスを受けられるでしょう。
各自治体には高齢者福祉のサービスや助成制度もあるため、こういった情報についてもぜひ調べてみましょう。
介護サービスを併用する
家族だけで介護をしようとすると共倒れのリスクが高まってしまいます。
負担を軽減するためにも、必要に応じてさまざまな介護サービスを利用しましょう。
自宅で受けられる家事援助などのサービス、施設などに出かけて受けられる日帰りや宿泊のサービスを利用するのもよい方法です。
将来的に老人ホームの利用を検討しているのなら、事前に見学に出かけたりお試し入所を体験してみたりするのもおすすめです。
介護サービスの利用は介護する方のレスパイトケアにもつながるため、ぜひ積極的に活用しましょう。
支援制度を利用する
在宅介護を続ける際に、費用面がネックになるケースもあるでしょう。
介護負担が大きくなったことがきっかけで、介護する方が仕事を辞めてしまうと介護の費用負担はさらに重くなってしまいます。
金銭面のやりくりがうまくいかず思ったように介護ができないと悩むときには、公的機関などの相談窓口を頼ってみましょう。
最近では各自治体や機関が、介護に関わる助成金や慰労金など、さまざまなサポートを実施しています。
介護をする方のための支援制度を適切に利用すれば、費用負担を大きく軽減することも可能となります。
在宅介護に限界を感じたらどうする?
在宅介護を続ける中で限界を感じるときには、無理なく周囲を頼るようにしましょう。
また、公的な機関に相談したり、介護サービスを利用したりするのもよい方法です。
状況によっては、老人ホームへの入居を検討するのも適切なケアといえるでしょう。
老人ホームには介護のプロが在籍しており、質の高い暮らしを送れるよう丁寧にケアしてもらえるのでそれほど心配はいりません。
老人ホームを利用すれば家族に負担がかかりにくくなるため、かえって家族の良好な関係性を保ちやすくなります。
老人ホームで適切な介護ケアをしてもらい、家族はときどき面会に行くというのも1つの介護のあり方です。
介護サービスや老人ホームの利用をお考えなら「あなたらしく」をご活用ください。