老人ホームの選択肢の1つとして、介護老人保健施設(老健)が挙げられます
介護老人保健施設は入居者の自宅復帰を目的とした施設で、入居後にはリハビリテーションをはじめとしたケアが実施されるのが特徴です。
今回は、「介護老人保健施設の入所条件」を詳しく解説します。
また、介護老人保健施設のメリットやデメリットについても紹介していきます。
介護老人保健施設の入所条件
介護老人保健施設は、要介護認定を受けている高齢者を対象とした施設です。
基本的には、病気やケガなどで入院し、症状が落ち着いたものの自宅への復帰が困難という場合に利用できます。
そのため入居できるのは、「要介護度1以上」ではあるものの病状が安定しており、入院の必要がない方に限られます。
介護老人保健施設には医師や看護師が在籍しているため、医療依存度の高い方でも利用可能です。
認知症ケアに特化した介護老人保健施設を選べば、認知症の症状を抱えている方でも入所が認められます。
入所期間が比較的短く定められているのも介護老人保健施設の特徴です。
入所後には3カ月ごとに入居の継続が判断され、自宅復帰が可能と判断された場合には退去を求められます。
また、条件が合わない場合には、介護老人保健施設への入所を断られてしまうこともあります。
細かい入所条件は施設ごとに異なるため、入所を希望する方は、あらかじめ施設に確認しておくことが大切です。
介護老人保健施設についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考ください。
『介護老人保健施設の特徴・費用・入居条件をまとめて解説』
⇒ ご参照ください。
介護老人保健施設へ入所するまでの流れ
介護老人保健施設へは、以下のような流れで入所するのが一般的です。
要介護認定を受ける
まずは、自治体の窓口または地域包括支援センターに相談し、要介護認定を受けましょう。
介護老人保健施設に入所するためには要介護1以上の介護認定が必要となります。
要介護認定を受けられるまでには多少の時間がかかってしまうため、入所を希望する際には早めに手続きを始めることが大切です。
施設に申し込みをする
要介護認定を受けたら、近隣の介護老人保健施設に申し込みを行いましょう。
申し込みは自身で行うことも可能ですが、ケアマネージャーや医療ソーシャルワーカーにサポートしてもらうことも可能です。
書類提出や面談
介護老人保健施設に入所を希望する際には、施設の利用申込書のほかに診療情報提供書や健康診断書の提出が必要です。
これらの書類を提出することで、施設側は入所者の健康状態や介護状況を適切に判断することが可能となります。
また、施設への入所前には入所者御本人やそのご家族と施設担当者との面談も実施されます。
入所判定、契約
面談内容や書類の内容をもとに、施設側は入所できるかどうかの判定を行います。
入所が認められたら契約が結ばれ、実際の入所が可能となります。
介護老人保健施設を選ぶメリット
ここからは、介護老人保健施設を選んで入所する「メリット」について紹介します。
在宅復帰を目指せる
介護老人保健施設は在宅復帰を目指す方を対象とした施設です。
病院を退院したものの自宅での生活は難しいという場合には、介護老人保健施設でリハビリを受けながら過ごすという選択が可能です。
老人ホームというと終の住み家というイメージがあるかもしれませんが、あとあと在宅に復帰できるというのは介護老人保健施設ならではの大きなメリットでしょう。
質の高い機能訓練を受けられる
介護老人保健施設では、在宅復帰を目指すためのリハビリサービスが提供されています。
施設には専門的な資格を持つスタッフが在籍しており、丁寧な指導を受けられるので安心できます。
また、施設に揃っている器具や装置も高品質なものが多いでしょう。
個々の入居者に合ったプランを立てたうえで、機能訓練を実施している介護老人保健施設もたくさんあります。
介護老人保健施設で適切な機能訓練を受ければ、身体機能の維持や向上の効果は十分に見込めます。
医療ケアを受けられる
常勤の医師や看護師が在籍しているのも、介護老人保健施設の特徴です。
日々の健康観察や体調管理はもちろんのこと、必要に応じてインスリン注射や経管栄養、たん吸引といった医療的措置を受けることもできます。
また、医師が常駐しているため施設内で薬を受け取ることも可能です。
医師や看護師をいつでも頼れるのは、医療を必要とする方にとって安心できるポイントでしょう。
要介護度が低い方も入所できる
要介護度が高い方を優先的に受け入れている老人ホームは少なくありません。
例えば、特別養護老人ホームは要介護度3以上を入居条件としており、要介護度が低い方の入居は断られてしまいます。
しかし、介護老人保健施設であれば要介護度が1の方でも入所可能です。
要介護度が低いものの日々の生活に不安があるという方には、介護老人保健施設の利用がおすすめです。
すぐ入所できる可能性が高い
介護老人保健施設は入居者の入れ替わりが早いという特徴があります。
そのため、入居にあたって長期の待機期間が発生するケースはそれほどありません。
申し込み後にすぐ入所できる可能性が高いのも、介護老人保健施設を選ぶ大きなメリットの1つです。
利用費用が比較的リーズナブル
介護老人保健施設は公的な介護施設なので、利用費用は比較的リーズナブルです。
有料老人ホームなどの施設とは異なり、入所にあたって一時金などの初期費用がかかることはありません。
また、所得に応じて居住費や食費の軽減措置を利用できることもあります。
介護老人保健施設は、老人ホームを利用したいけれど費用面が不安という方に多く選ばれています。
介護老人保健施設を選ぶデメリット
介護老人保健施設の利用には多くのメリットがありますが、一方で以下のような「デメリット」も考えられます。
余暇活動が少ない
介護老人保健施設では、レクリエーションをはじめとした趣味や娯楽の時間が少ない傾向にあります。
多くの介護老人保健施設ではリハビリを充実させているため、余暇活動に充てる時間をそれほど確保できません。
レクリエーションなどの余暇活動を楽しみたい方には、介護老人保健施設はあまり向いていないでしょう。
かかりつけ医を受診できない
介護老人保健施設では、施設に常駐している医師が入所者の診療を行うという決まりがあります。
長期間お世話になっているかかりつけ医がいる場合は、担当医師が変わることを心理的に不安に感じるケースもあるかもしれません。
しかしながら、診療の際には入所期間中でも施設の医師とかかりつけ医が情情報をしっかりと共有することは可能であるため、それほど心配はいりません。
長期間の利用には対応していない
介護老人保健施設の「利用期間は原則3カ月」とされています。
入所後には、3カ月ごとに在宅復帰ができるかどうかを検討し、復帰が難しい場合には入居継続と判断されます。
しかし、自宅での生活が可能と判断された場合にはすぐに退去しなければなりません。
ほかの老人ホームとは異なり、終の住み家として長期間住み続けるのは難しいという点に十分注意しましょう。
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