老人ホームの職員は入居者の安全に十分配慮していますが、時には怪我などのトラブルが起きてしまうことがあります。
万一の事故が起きた際に、ご本人やご家族が冷静に対処するのは少し難しいかもしれません。
そこで今回は、「老人ホームで怪我をしたときの対処法」についてご紹介します。
また、老人ホームで起きやすい怪我についてもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
老人ホームで起きやすい怪我やその状況とは?
まずは、老人ホームに入居している方が負いやすい怪我の種類についてご紹介します。
また、怪我をする「シチュエーション」や「原因」についても解説していきます。
転倒による怪我
高齢者の怪我の原因で最も多いのは、転倒による打撲や骨折です。
転倒事故が起きるシチュエーションはさまざまですが、立ち上がりや移動の際にバランスを崩してしまうケースは少なくありません。
ベッドから降りようとしたときに落下してしまったり、家具に手をかけたつもりが滑ってしまったり、または足元に落ちているものにつまずいてしまったりすることもあるでしょう。
高齢の方は下肢の筋肉が衰えており、さらにバランス感覚も悪くなってしまうため、転倒のリスクが高くなります。
体の衰えが原因で、日々の何気ない動作の中で怪我をしてしまうこともあるため、十分な注意が必要です。
介護のミスによる怪我
老人ホームのスタッフの過失によって入居者が怪我をしてしまうケースもあります。
多くのスタッフは十分な研修を受け、経験を積んだ上でケアにあたっているため、事故が起きる可能性は低いといえます。
しかし、油断やスキル不足によって思わぬトラブルが起きる可能性はゼロではありません。
介護の現場で特に多いのは、体位変換や移乗などの際に入居者の皮膚を傷つけてしまう怪我や、体をぶつけてしまうことで起きる内出血などの怪我です。
また、おむつ交換の際に大腿骨を無理にひねってしまったことが原因で、骨折などの怪我が起きることもあります。
徘徊による怪我
認知症を抱える入居者が老人ホームを抜け出して徘徊し、事故に遭うケースも少ないながら報告されています。
認知症の方は判断力の身体能力も落ちているため、万一老人ホームの外へ出てしまった場合、交通事故など大きなトラブルに遭うリスクが高まります。
もし老人ホームで怪我をしたら家族はどうすべき?
老人ホーム内で入居者が怪我をしたときには、ご家族に連絡が入るのが一般的です。
突然の連絡に対して冷静に対処するのは難しいものですが、まずは状況を把握して必要な対策を行いましょう。
ここからは、老人ホームの入居者が怪我をした際に「ご家族が取るべき対応」について解説します。
状況をしっかり説明してもらう
まずは老人ホームのスタッフから詳しい説明を受け、状況を正しく把握しましょう。
老人ホームによっては口頭の説明に加え、事故報告書や介護記録を提示してくれることもあります。
なぜ怪我をしてしまったのか、怪我をした際にどのような対処を受けたのかといったポイントを整理しておけば、その後の治療や対策がしやすくなります。
治療を受ける
老人ホームで怪我をした場合には、すぐに応急処置や治療を受けられることがほとんどです。
特に、医師や看護師が在籍している老人ホームであれば、すぐに専門的な治療が施されるので安心できます。
場合によっては入院が必要となることもあるので、治療をした医師や看護師からしっかりと状況を聞き取りましょう。
治療費等の請求について検討する
老人ホームでの怪我が施設側の過失によるものだった場合には、治療費等の請求ができるかもしれません。
一般的な老人ホームでは、怪我の状況についての説明の際に治療費の支払いに関する説明を受けられます。
こういった説明がなかった場合には、必ず説明を求めて状況をはっきりさせておきましょう。
なお、介護スタッフの不注意による怪我が起きた場合にはつい冷静さを失ってしまうこともあると思いますが、大声で罵倒したり過大な要求をしたりするのは避けたいものです。
話がこじれるのを防ぐためにも、冷静に話をするよう心がけましょう。
老人ホームでのトラブルにお悩みなら、こちらの記事もチェックしてみてください。
老人ホームでのトラブル事例や対応方法を詳しく解説
⇒ ご参照ください。
老人ホームで怪我をしたときの相談先
老人ホームの入居者が怪我をしたときには、施設の責任者としっかり話をすることが重要です。
また、必要に応じて以下のような「相談窓口を利用する」のもよい方法です。
老人ホームの苦情相談受付窓口
老人ホームにはそれぞれ苦情相談受付窓口が設置されています。
こちらの窓口は、老人ホームの施設スタッフやケアマネージャーなどによる聞き取りやアドバイスが行われる場所です。
各施設の苦情相談受付窓口の詳しい内容や連絡先は、老人ホーム契約時に取り交わした重要事項説明書に明記されています。
老人ホームで起きた怪我などのトラブルを相談するのなら、まずはこちらの窓口を選びましょう。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の生活に関する相談を総合的に受け付けている窓口です。
高齢者の健康や福祉、介護、権利擁護に関する幅広い内容を相談できるのが地域包括支援センターの特徴です。
センターには介護や福祉のトラブルに関する豊富な知識をもつスタッフも在籍しているので安心できます。
地域包括支援センターは全国に5,000箇所以上あり、すべての市町村に設置されているので、近隣のセンターを選んで相談してみましょう。
国民生活センター
国民生活センターは市販の商品や商業施設のサービスなどのトラブルに対応している機関です。
こちらのセンターでは、介護サービスに関する苦情や相談、介護施設の利用時のトラブルに関する相談なども受け付けています。
自治体の窓口
老人ホームで問題が起きたときには、市区町村の介護保険課に相談することも可能です。
また、都道府県に設置されている国民健康保険団体連合会の苦情処理窓口を頼って相談する方もいます。
こういった窓口には介護サービスに関する豊富な知識をもつ専門家が在籍しているので、よいアドバイスを得られる可能性も高いでしょう。
まずは市区町村役場に足を運び、窓口で詳しい内容を相談してみましょう。
第三者委員会
老人ホームなどの施設は、トラブルに備えて第三者委員会を設置しています。
第三者委員会は老人ホーム利用者の立場を尊重し、然るべき対応をしてくれる存在です。
第三者委員会の連絡先は、老人ホームで取り交わした重要事項説明書に記載されているので、トラブルの内容を詳しく相談してみるとよいでしょう。
弁護士
老人ホーム内のトラブルに納得がいかないとき、じっくり話をしても解決に至らないときには、弁護士に相談するのも1つの方法です。
法律の専門家である弁護士を頼れば、問題を解決できる可能性が大きく高まります。
とはいえ、弁護士への相談にはまとまった費用がかかるため、まずは自治体が設置する相談窓口を頼ったほうがよいかもしれません。
今回は老人ホームで怪我をした際の対応方法について紹介しました。
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