持病をもつ方や大病によって後遺症が残った方にとって、老人ホーム探しは大きな心配が伴うかもしれません。
しかし、病気を抱える方を受け入れている老人ホームは増加傾向にあるので、自身に合った老人ホームを探してみましょう。
この記事では、「老人ホームで対応できる病気の種類」について紹介します。
また、病気の方が老人ホームを探すときのコツについても解説します。
病気があっても老人ホームに入所できる?
「老人ホームは病院ではないため、病気があると入所できない」と考える方もいます。
しかし、高齢の方の多くはなんらかの症状を抱えているため、病気のある方を受け入れないということになるとほとんどの高齢者が老人ホームに入所できなくなってしまいます。
近年では、医療や看護に対応する老人ホームも増えているため、病気を抱えている方が老人ホームで生活することは決して難しいことではありません。
病気の状態が軽い方であれば、介護スタッフのサポートを受ければ快適に生活できるでしょう。
重い病気をもつ方でも、医療機関と連携している老人ホームを選ぶなどの工夫をすれば問題なく日々の生活を送ることができます。
老人ホームによっては、医師が常駐していたりリハビリを実施していたりすることもあり、身体機能の維持や病状の回復が見込めることもあります。
老人ホームで対応可能な病気
一部の老人ホームは、糖尿病や腎不全など以下のような症状を抱える方のケアに対応しています。
糖尿病
糖尿病の持病をもつ方を受け入れている老人ホームは少なくありません。
糖尿病とは、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が減ったり、まったく分泌されなくなったりする病気です。
インスリンには血糖値の上昇を抑える働きがあるため、分泌量が減ると血糖値の上昇が続いてしまいます。
初期の糖尿病には自覚症状がほとんどないため、体調が悪くなってから病気に気づく方もいます。
糖尿病の症状が進行した場合、糖尿病網膜症や糖尿病腎症といった深刻な合併症が起こることもあり、注意が必要です。
また、糖尿病による壊疽(えそ)で手足の切断に至るケースもあります。
糖尿病の症状を抱える方は不足するインスリンを補うためにインスリン注射を続けなければなりません。
他にも、糖尿病を抱える方は低血糖による体調不良の症状が強く出てしまうこともあるでしょう。
老人ホームへの入居を考えるときには、インスリン注射や低血糖への対処といった医療行為に対応している施設を探すのが安心です。
糖尿病の方が老人ホームを探すときにはこちらの記事もぜひご覧ください。
⇒ ご参照ください。
腎不全
腎臓の働きが低下することによって生じる腎不全も、高齢者の生活にとって深刻な影響を与える病気です。
腎不全の症状が慢性化すると、血液中の老廃物や水分の排出が難しくなります。
この状態が続くと尿毒症などの症状が起き、命の危機にもつながってしまいます。
腎不全が悪化したときには、血中の余分な水分や老廃物を取り除く人工透析の治療が必要です。
1回の人工透析には4時間ほどの時間がかかり、これを週に3回ほど受けなければなりません。
人工透析が必要な方が老人ホームを探すときには、受け入れが可能かどうかを前もって確認しておいた方がよいでしょう。
脳卒中
脳卒中によって後遺症が残った場合にも、老人ホーム探しに悩むことがあると思います。
脳卒中は、血液の流れが阻害されて脳細胞に酸素や栄養が届きにくくなったときに生じる病気のことです。
脳卒中には脳出血やくも膜下出血、脳梗塞といった種類があります。
脳卒中の原因は、脳の血管の破裂や血栓などさまざまですが、脳卒中は麻痺や認知障害といった後遺症をもたらすことがあるので注意が必要です。
脳卒中の後遺症がある場合には、リハビリに対応できる老人ホームを選び、身体機能の維持や回復を目指しましょう。
ALS
ALSとは筋萎縮性側索硬化症と呼ばれる難病で、筋肉を動かす運動神経細胞の働きが徐々に弱まっていくという特性をもちます。
筋肉は脳や末梢神経からの司令をつかさどる運動ニューロンによって動いていますが、このニューロンが機能しなくなることで筋肉が動かなくなっていくのです。
ALSは進行性の病で、いったん発症すると症状はどんどん進んでいってしまいます。
ALSの症状が進むと口や喉の筋肉にも影響が起き、話したり呼吸したりするのも難しくなってしまいます。
ALSの症状によって筋肉が動かなかったり、人工呼吸器を使っていたりする場合には、ALSの方を受け入れている老人ホームを探してみましょう。
その他の病気
高齢の方にとって心配な病気はいくつもありますが、がんをはじめとした病気にかかっている場合には専門的な医療ケアが必要です。
認知症やパーキンソン病といった特定疾病を抱えている方や、徐脈などの症状で心臓ペースメーカーを使っている方もいるでしょう。
これらの病気をもつ方が老人ホームを探すときには、医療体制がどの程度整っているかをチェックすることが大切です。
持病がある人向けの老人ホーム選びのポイント
老人ホーム選びでミスマッチが起きてしまうと、必要な医療ケアや介護ケアを受けられず不便な思いをするかもしれません。
快適に生活するためには、自身に合ったサービスを提供している老人ホームを選ぶことが肝心です。
ここからは、病気をもつ方が老人ホームを探すときの「ポイント」について説明していきます。
病状に合った老人ホームを選ぶ
持病がある方は、症状に対応できる老人ホームを選びましょう。
例えば特別養護老人ホームは、特定疾病をもち要介護認定を受けた方や認知症を患っている方を受け入れている施設なので安心できます。
また、介護老人保健施設は入院の後にリハビリや医療ケアを行いながら在宅復帰を目指すための施設なので、適切な医療ケアを受けやすいでしょう。
医療処置が必要な方を受け入れている介護療養型医療施設や、医師が常駐している民間の有料老人ホームなどを選ぶのも良い方法です。
要介護度を確認する
老人ホームを選ぶにあたってはまず、要介護認定を受けるようにしましょう。
要介護認定は市区町村の役所や地域包括センターに問い合わせれば申請できます。
要介護認定を受ければ、体の状態に合った老人ホームを紹介してもらえる可能性が高まります。
また、要介護認定を受ければ介護サービスの一部を介護保険でまかなえるようになり、金銭的な負担を軽減することが可能です。
必要な介護サービスを見極める
老人ホームに入るときには、どのくらいサポートをしてもらうべきなのかを見極めましょう。
持病があっても自分の力である程度日常生活を送れるという方がいる一方、身体介護を受けなければ日々の生活が難しいという方もいるでしょう。
老人ホームでは食事や入浴のサポートに加え、排泄や歩行、体位変換などさまざまなケアを実施しています。
老人ホームへの入居の際には、必要とするサポートについて詳しく話しておくのが安心です。
持病をもつ方が入れる老人ホームをお探しなら、「あなたらしく」をぜひ使ってみてください。