胃ろうでも老人ホームに入れる?施設選びのコツも紹介

2024年2月8日

胃ろうでも老人ホームに入れる?施設選びのコツも紹介

胃ろうを造設された方にとって心配なのは、退院後の生活のことでしょう。

 

胃ろうのケアは医療行為にあたるため、老人ホームを探す場合でも胃ろうを理由に入居を断られてしまうこともあります。

 

しかし、胃ろうであっても入れる老人ホームはあるため、あきらめずに探してみましょう。

 

この記事では、胃ろうに対応できる老人ホームの探し方についてご紹介します。

 

 

胃ろうでも老人ホームに入所できる?

胃ろうでも老人ホームに入所できる?
 
胃ろうとは、胃の部分にチューブを通して直接食べ物を流し込む処置のことです。

 

食事摂取が難しい方や、食事でむせ込んで肺炎などを起こしやすい方には、胃ろうという形で栄養管理を行うのが適しています。

 

高齢者は噛む力や飲み込む力が低下し、食事の際に喉が詰まったりむせたりすることがあります。

 

飲み込む力が低下すると誤嚥性肺炎などの症状が起きることもあるため、食べることが難しい場合には胃ろうが必要です。

 

また、寝たきりの方や意思疎通が難しく口からの栄養摂取ができない方に対し、胃ろうを行うケースもあります。

 

胃ろうの手術自体は30分ほどで済み、体への負担もそれほど大きくないと言われています。

 

胃ろうの主なメリットは、痛みや不快感もそれほどなく、経口摂取が難しくても体に必要な栄養を十分に摂取できるようになることです。

 

ただし、胃ろうのケアは医療行為にあたるため、胃ろうを造設した方が老人ホームへの入居を希望した場合、入居を断られてしまうこともあります。

 

健康型有料老人ホームなど、看護職員が在籍していない老人ホームでは胃ろうの受け入れが難しいという点に注意しましょう。

 

看護師が在籍している特別養護老人ホームや介護医療院、介護付き有料老人ホームなどの施設であれば、胃ろうでも問題なく受け入れてもらえる可能性は高いです。

 

また、後述の法改正により、近年では胃ろうの受け入れを行っている老人ホームが増加傾向にあります。

 

老人ホームにおける胃ろうへの対応方法

老人ホームにおける胃ろうへの対応方法
 
胃ろうの介護の際にはまず、口から食事を摂るときと同じように体を起こして姿勢を正します。

 

これは、横になった状態で栄養剤を注入すると逆流などのトラブルが起こりうるためです。

 

寝たきりの方であっても、基本的には上体をある程度起こした状態で注入を実施します。

 

胃ろうに使われる栄養剤やカテーテルにはいくつかの種類があり、一人一人に合ったものを選定する必要があります。

 

胃ろうに使用する器具の衛生状態が正しく保たれているかも重要なポイントです。

 

こういった胃ろうのケアは医療行為に該当するため、これまでは基本的に看護師がいなければ対応できませんでした。

 

しかし2012年に「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が改正されたことにより、現在では介護職員に一部の医療行為が許可されています[注1]。

 

一定の条件を満たした介護職員は、胃ろうに加え、経鼻経管栄養や腸ろうといった処置にも対応できます。

 

ただし、介護士がこれらの処置を行うためには、所定の研修を受けた上で認定証を交付されている必要があります。

 

また、登録事業者として登録されている施設でなければ、認定を受けている介護士であっても処置を行うことはできません。

 

胃ろうの方が老人ホームを選ぶ際には、ケアに対応できる看護師や介護士が在籍しているかを確認することが重要です。

 

>>[注1]厚生労働省「平成23年介護保険法改正について」P.8-9

 

胃ろうに対応した老人ホームの選び方

胃ろうに対応した老人ホームの選び方
 

胃ろうに対応した老人ホームを選ぶときには、以下のようなポイントを意識してみましょう。

 

地域の老人ホームに関する情報を集める

 

 
地域の老人ホームを探す方法はいくつか考えられます。

 

インターネットで地名を入れて老人ホームを検索する方法の他、地域の方からの情報を集めたり、パンフレットを取り寄せたりするのもおすすめです。

 

また、地域包括支援センターケアマネジャーに相談しながら老人ホームを選ぶという方法もあります。

 

胃ろうの方が老人ホーム選びに困ったときには、「かかりつけの病院」で詳しく相談してみましょう。

 

老人ホームに入居している方の胃ろう処置に対応している病院は少なくありません。

 

また、地域の医療や介護に関する相談に広く応じている病院もあります。

 

医師や看護師に相談すれば、胃ろうケアに対応できる老人ホームを紹介してもらえる可能性は十分にあります。

 

さまざまな人の力を借りたり情報を集めたりしながら、ベストな老人ホームを選んでみましょう。

 

入居者本人の体の状態を詳しく把握する

 
入居者本人の体の状態を詳しく把握する
 
入居する本人の体の状態を正しく知っておくことも大切なポイントです。

 

胃ろうに関してどのようなケアが必要なのかといった点に加え、それ以外の疾病についても明らかにしておきましょう。

 

「介護がどの程度必要なのか」、「認知症の症状がないか」といったポイントも把握しておきたいものです。

 

また、胃ろうの処置をして介護に必要な時間が増えると、要介護度が上がることがあるので、正しい区分を把握することが肝心です。

 

通院や服薬の状況によっては、選べる老人ホームの幅がさらに狭まってしまう可能性もあります。

 

とはいえ、体の状態や希望するサービスなどの情報を細かく整理すれば、老人ホーム探しのミスマッチが起こりにくくなります。

 

胃ろうの受け入れ態勢を確認する

 
胃ろうの受け入れ態勢を確認する
 
前述した2012年の法改正以降、胃ろうを理由に老人ホームへの入居を断られるケースは減少しているものの、まだ全ての老人ホームで受け入れが可能というわけではありません。

 

胃ろうケアができる看護師や介護士がいない施設の場合、受け入れが難しいのが現状です。

 

また、夜間の胃ろうケアに対応できる看護師や介護士がいない老人ホームもあります。

 

この場合には、24時間態勢での胃ろう対応が難しいという理由で入所を断られてしまう可能性もあります。

 

老人ホームを探す際には、まず胃ろうの受け入れ態勢を十分に確認するとよいでしょう。

 

清潔にケアしてくれる老人ホームを選ぶ

 
清潔にケアしてくれる老人ホームを選ぶ
 
胃ろうをケアする上で重要なポイントの1つに、衛生的であることが挙げられます。

 

胃ろうの周辺部が不衛生になってしまうと皮膚トラブルが起こりやすくなるため、体を清潔に保つことが肝心です。

 

胃ろうというと入浴が難しそうなイメージがあるかもしれませんが、カテーテルをつけた状態のままでも入浴が可能です。

 

入浴介助の際に、胃ろう周辺を丁寧に洗うなどの対応をしてくれる老人ホームを選びましょう。

 

また、胃ろうで栄養摂取をする方は、口腔内の唾液量が減る傾向にあります。

 

この状態が続くと細菌が喉に入り込みやすくなり、肺炎など重篤な症状につながるおそれがあります。

 

歯磨きなどの口腔ケアを丁寧に実施している老人ホームを選べば不安なく生活できるでしょう。

 

【まとめ】胃ろうに丁寧な対応をしてくれる老人ホームを探そう!

 
現在では看護師だけでなく、一部の介護士も胃ろうのケアに対応できるようになり、受け入れの幅が広がっています。

 

胃ろうが必要な方であっても、ケアに対応できる看護師や介護士が在籍する老人ホームを選べば問題なく入居できます。

 

胃ろうが必要な場合には、丁寧なケアを受けられる老人ホームを探してみましょう。

 

老人ホーム探しの際には、「あなたらしく」をぜひお役立てください。

 

>>「あなたらしく」を利用して希望の施設を探す