老人ホームへの入居申し込みの際は、身元保証人や身元引受人を求められるのが一般的です。
保証人には緊急時の対応や費用面の保証など多くの役割があるため、慎重に選定することが肝心です。
今回は、老人ホームにおける保証人について詳しく解説していきます。
また、保証人がいない場合の対処法についてもご紹介しますので、参考にしてみてください。
老人ホームに入るときは保証人が必要?
老人ホームの身元保証人とは、入居者の身元や金銭面の保証を行う人のことです。
多くの場合、入居者の親族のうち1人を保証人として選定します。
保証人は老人ホーム側に対して連絡先などを明らかにし、さらに資産や収入を証明する書類の提出が必要です。
老人ホームでの生活の中では、病が悪化したときの治療に関する手続き、入居費用の支払いが予定通り行われなかったときの支払いなどの入居者本人や老人ホームのスタッフだけでは判断できない問題が発生した場合に、保証人が対応を求められる可能性が考えられます。
老人ホーム側にとって保証人を立てることは、運営上の支障を回避するためのリスク管理という側面があります。
老人ホームへの入居の際には、家族や親族のうち1人を保証人として立てられるかを十分に検討しましょう。
保証人になるための条件
老人ホーム入居の際の保証人は誰もが引き受けられるわけではありません。
保証人になるということは、その契約に対して責任を負うということを意味します。
ここからは、保証人になるための条件や保証人に求められる役割についてチェックしましょう。
緊急時の連絡先
老人ホーム入居の際の保証人には、緊急時の連絡窓口の役割が求められます。
入居者が特に問題なく生活していれば、保証人に緊急の連絡が入ることはありません。
しかし体調の変化が起きたときやトラブルが起きたときなどには、入居者とスタッフのみでは問題を解決できないことがあります。
こういった場合には、保証人が緊急または臨時の連絡窓口になる必要があるのです。
入居者が認知症を患っているときや判断能力が低下しているときには、保証人が本人に代わって意思決定を行うこともあります。
状況に応じた適切な意思決定を行うことが、保証人に求められる条件の一つです。
費用の支払いなど経済的な保証
老人ホームへの入居にあたり、利用料をはじめとしたさまざまな費用が請求されます。
基本的には入居時や入居後に決まった額を支払っていくことになりますが、なんらかの原因により支払いが遅れてしまうケースがあるかもしれません。
予定どおりに支払いが行われなかった場合には、保証人が支払う責任を負うことになります。
入居者に資産があるにもかかわらず、認知症などが原因で支払い手続きが難しいという場合には、保証人が代理で手続きを行うケースもあります。
保証人に支払い能力がない場合、保証人としての条件を満たしていないとみなされる可能性もあるため注意が必要です。
医療を受ける際の同意や手続き
老人ホームでの生活の中では、病気にかかったりケガをしたりすることもあります。
医師の治療を受ける際には、原則として入居者本人が手続きをしたり治療方針を決めたりするのが一般的です。
ただし、認知症の進行で適切な判断ができなかったり、体調の悪化によって手続きが難しくなったりすることもあります。
こういった場合には、保証人が本人に変わって判断または手続きの実施が必要です。
保証人に一存で治療方針を判断し手続きを行うケースもありますが、多くの場合は施設スタッフと話し合って入居者本人の推定意思を検討します。
退去手続きや身柄の引き取り
最近では、終身で利用できる老人ホームが増えています。
入居者が施設で亡くなったときには、保証人が身柄の引き取りを行います。
その際に保証人は老人ホームの退去にあたって荷物を引き取り、利用料の精算など各種手続きを進めなければいけません。
また、老人ホームの居室の原状復帰が必要となるケースもあります。
これらの手続きを的確に行えることも、保証人に求められる条件の一つです。
保証人がいないときの対応方法
近年では老人ホームに入るにあたり、保証人を誰にも頼めないという人が増えつつあります。
保証人がいないときにはどのような対応をしたらいいのか、詳しくみていきましょう。
保証人不要で入れる老人ホームを探す
多くの老人ホームは保証人を立てることを必須条件としていますが、保証人不要で入れる老人ホームもあります。
最近では核家族化が進み、さらに未婚率も増加していることから、保証人を立てられないという相談が老人ホームに多く寄せられています。
これを受けて、老人ホーム側も保証人不要、または保証人要相談という形で多くの人を受け入れているのです。
ただし、保証や身元引受がまったく不要という老人ホームはほとんどありません。
保証人不要としている老人ホームのほとんどは、保証会社との提携や保証会社紹介という形でサービスを提供しています。
成年後見人制度を活用する
成年後見人とは、成年後見制度にのっとって本人の財産管理や法的行為を行う代理人のことです。
民法の法定後見制度に定められた成年後見人は、認知症などで十分な判断能力がない人に代わり、意思決定や支払い管理などを行います。
なお、本人に判断能力がある場合にも任意後見制度という形で代理人を立てることが可能です。
ただし、後見人と保証人はあくまで別のものと定義されています。
後見人は法律行為のみを行う存在であり、身元保証や身元引受などには対応できません。
そのため、保証人を入居の必須条件にしている老人ホームの場合、成年後見人を立てただけでは入居できないことがあります。
保証会社を活用する
保証人が必要であるにもかかわらず保証人が立てられないというときには、保証会社の利用を検討しましょう。
保証会社とは、代理で身元保証人になってくれるサービスのことで、多くは民間企業やNPO法人によって運営されています。
保証会社を利用した場合、保証人や身元引受人の委託の他、生活サポートや金銭管理なども一任できるので安心です。
また近年では、入居者が亡くなった後の手続きや葬儀の手配などを代行してくれる保証会社も増えています。
保証会社の「利用料は100万円前後」となっており、利用する場合には費用を月額で支払うか契約時に支払わなければいけません。
なお、生活保護を受けている人は保証会社の契約対象外となる可能性があります。
【まとめ】保証人を立てられない場合でも老人ホームへの入居は可能!
老人ホーム入居時には保証人を求められるのが一般的ですが、最近では保証人を立てられない人が増えつつあります。
親族に保証人を頼めない場合には、保証会社のサービスを利用してみるのも良さそうです。
また、保証人を必要としない施設を選んで入居の手続きを進めるのも有効な方法です。
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