高齢者の一人暮らしは心配?リスクを抑える5つの対策

2023年7月4日

高齢者の一人暮らしは心配?リスクを抑える5つの対策

高齢者の一人暮らしは、住宅内での転倒や転落、食事中の窒息、入浴中の溺水などのリスクがあります。周囲が適切にサポートするためには、一人暮らしの高齢者が抱える生活上のリスクについて知り、対策を考えることが大切です。
家族との同居または近居が難しい場合は、高齢者向けの見守りサービスの利用や、サービス付き高齢者向け住宅への入居も検討しましょう。

本記事では、高齢者の一人暮らしのリスクや、65歳以上の方が安全に暮らすための対策を紹介します。

 

一人暮らしの高齢者の生活上のリスク

一人暮らしの高齢者の生活上のリスク

一人暮らしの高齢者は、周りに頼れる人がいないため、住宅内での事故が思わぬ怪我につながるリスクがあります。消費者庁によると、高齢者が特に気を付ける必要があるのが、転倒・窒息・溺水の3つです。

  • 住宅内での転倒や転落
  • 食べ物が詰まるなどの窒息
  • 入浴中などの溺水

 

特に住宅内での転倒は、高齢者が寝たきり状態になったり、要介護状態になったりする大きな原因の一つでもあります。内閣府の令和4年高齢社会白書によると、65歳以上の要介護者のうち、骨折・転倒が原因となった割合は男性5.8%、女性16.5%の割合です。[注1]

介護が必要となった主な原因
脳血管疾患(脳卒中) 心疾患(心臓病) 関節疾患 認知症 骨折・転倒 高齢による衰弱 その他・不明・不詳
総数 15.00% 4.70% 11.00% 18.10% 13.00% 13.30% 25.00%
男性 24.50% 6.30% 4.60% 14.40% 5.80% 11.30% 33.20%
女性 10.30% 3.90% 14.20% 19.90% 16.50% 14.30% 21.00%

 

特に女性の場合、骨折・転倒が原因で介護が必要になった人の割合が2番目に多くなっています。転倒・窒息・溺水の3つのリスクは、高齢者の方の健康寿命を縮める大きな原因になります。一人暮らしの高齢者が怪我をするリスクが高い場所を知り、日常生活にどのような危険が潜んでいるのかを理解することが大切です。

[注1] 内閣府「令和4年高齢社会白書」

 

一人暮らしの高齢者が怪我をするリスクが高い場所

一人暮らしの高齢者が怪我をするリスクが高い場所

一人暮らしの高齢者の方が怪我をするリスクが高い場所は5つあります。

  • キッチン
  • 玄関
  • 廊下
  • トイレ
  • 浴室や脱衣場

 

住宅内で特に注意が必要な場所や、転倒や転落を防ぐための工夫を簡単に紹介します。

 

1. キッチン

キッチンでは、火災などの事故に注意する必要があります。古いコンロを使用している場合は、安全性の高いIHへの取替を検討しましょう。また、転倒を防止するため、食器類は高いところではなく手の届く範囲に収納することが大切です。

 

2. 玄関

玄関は転倒が起きやすい場所の一つです。特に上がり框に段差があると、つまずいて転ぶ原因になります。玄関に手すりや踏み台を取り付けることで、転倒リスクを下げられます。

 

3. 廊下

廊下など頻繁に通行する場所には、床にものを置かないように注意しましょう。特に夜間にトイレに行くとき、床の上のものが見えず、怪我をする原因になります。廊下にフットライトを設置すると、夜間の安全対策につながります。

 

4. トイレ

安全上の観点から、高齢者は踏ん張りが必要な和式トイレよりも、座って用を足す洋式トイレの方が望ましいとされています。トイレ内での転倒を避けるため、手すりを取り付けておくとより安心です。また、トイレマットを置くと滑って転ぶ原因になるため、不安な場合はマットを敷かないようにしましょう。

 

5. 浴室や脱衣場

浴室や脱衣場は床が濡れるため、住宅内でもっとも怪我をしやすい場所です。浴室内に滑り止めマットを設置することで、転倒リスクを下げられます。また、浴室内はつかまる場所が少ないため、手すりを取り付けるのもおすすめです。脱衣場には、落ち着いて座れる腰かけ椅子を置いておくことで、脱衣中に転ぶリスクを減らせます。

 

一人暮らしの高齢者のリスクを抑える対策

一人暮らしの高齢者のリスクを抑える対策

一人暮らしの高齢者が安心安全に暮らすには、転倒や転落などのリスクを抑える対策が必要です。転倒予防のトレーニングや、怪我をしにくい住宅環境を整えるなど、高齢者自身でできる対策もあります。ここでは、一人暮らしの高齢者のリスクを抑える対策を5つ紹介します。

 

1. 転倒予防のトレーニングをする

住宅内での転倒を予防するため、体の柔軟性を高めるストレッチや、ふくらはぎなどの筋力を強化するトレーニングに取り組みましょう。日頃から筋力やバランス感覚を鍛えておくことで、いざというときに転びにくい体づくりにつながります。

 

2. 怪我をしにくい住宅環境を整える

前項で紹介したとおり、転倒や転落などのリスクを抑えた住宅環境づくりが大切です。特にキッチン、玄関、廊下、トイレ、浴室や脱衣場の5箇所に着目し、重点的に怪我対策をしましょう。住まいの環境を整えるときは、以下の3点を意識することが大切です。

  • 床が濡れていたり、滑りやすい状態になったりしていないか
  • 床の上に荷物などが置かれ、つまずきやすくなっていないか
  • 床の上に足がひっかかりそうなコード類がないか

 

床に滑り止めマットを敷いたり、滑りにくいルームシューズを履いたりすることでも、自宅での転倒事故を防止できます。

 

3. 家族と同居または近居する

家族と同居または近居することで、一人暮らしの高齢者のリスクを軽減できます。いざというときに頼れる存在が身近にいると、病気や怪我のときに助けを求めたり、生活動作を介助してもらったりすることが可能です。転倒などの事故防止につながるだけでなく、認知症などの兆候を早めに発見し、適切な治療を受けることができます。

 

4. 高齢者向けの見守りサービスを利用する

しかし、高齢者の中には、家族が多忙な場合や遠方に住んでいる場合など、同居または近居が難しい人もいるかもしれません。そうした場合は、高齢者向けの見守りサービスを利用するのがおすすめです。
見守りサービスは、一人暮らしの高齢者の安否確認や、24時間365日の健康相談を受けられるサービスです。病気や怪我で動けないときは、家族が代わりに緊急通報する仕組みもあります。

 

5. サービス付き高齢者向け住宅に入居する

サービス付き高齢者向け住宅に入居するのもおすすめです。サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者が安心して住みつづけられるバリアフリー住宅のことで、専門家による生活相談や安否確認などのサービスが付属しています。サービス付き高齢者向け住宅に入居することで、他の住人との交流が生まれ、社会的な孤立を防ぐ効果も期待できます。

 

【まとめ】一人暮らしの高齢者が抱えるリスクを知り、健康寿命を伸ばす対策を

一人暮らしの高齢者は、転倒・窒息・溺水の3つのリスクを抱えています。健康寿命を伸ばし健やかな老後生活を送るためには、一人暮らしのリスクを抑える5つの対策が必要です。

  • 転倒予防のトレーニングをする
  • 怪我をしにくい住宅環境を整える
  • 家族と同居または近居する
  • 高齢者向けの見守りサービスを利用する
  • サービス付き高齢者向け住宅に入居する

 

家族と同居または近居するのが難しい場合は、高齢者向けの見守りサービスの利用や、サービス付き高齢者向け住宅への入居も検討しましょう。

老人ホームに入居することも有効な手段の一つです。その場合、「あなたらしく」に相談して希望に沿った条件の老人ホームを探すのがおすすめです。

 

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