介護認定前にサービスを利用することはできる?利用する際の注意点や利用方法について

2023年10月10日

介護認定前にサービスを利用することはできる?利用する際の注意点や利用方法について

介護保険サービスを利用するには、要介護認定の申請を行って認定を受ける必要があります。

 

この介護認定の申請は認められるまで、平均して30日ほどの時間がかかります。

 

親の健康状態が急に悪化した場合や、介護リフォームを急いで行いたい場合など、介護認定前に介護保険サービスを利用することはできるのでしょうか。

 

本記事では、「介護認定前のサービス利用の流れ」や、「介護サービスを利用する際の注意点」をわかりやすく解説します。

 

 

介護認定前にサービスを利用することはできる?

介護認定前にサービスを利用することはできる?
 

要介護認定を受ける前に介護サービスを利用することは可能です。

 

緊急の場合やその他のやむを得ない事情がある場合、暫定的に介護サービスを利用できます。

 

また、要介護の認定結果は、申請日まで遡って適用されます。

 

そのため、すでに申請手続きを済ませた場合は、介護サービスを利用しても構いません。

 

一般的な介護サービス利用の流れ

 
一般的な介護サービス利用の流れ
 
厚生労働省で紹介されている介護サービスを利用する流れは以下のとおりです。[注1]

 

流れ 必要な手続き
要介護認定の申請 介護保険によるサービスを利用するには、要介護認定の申請を行う。申請には、介護保険被保険者証が必要
認定調査・主治医意見書 市区町村などの調査員が自宅や施設などを訪問して、心身の状態を確認するための認定調査を行う
審査判定 調査結果および主治医意見書の一部の項目はコンピュータに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行われる(一次判定)
一次判定の結果と主治医意見書にもとづき、介護認定審査会による要介護度の判定が行われる(二次判定)
認定 市区町村は、介護認定審査会の判定結果にもとづき要介護認定を行い、申請者に結果を通知
介護(介護予防)サービス計画書の作成 介護(介護予防)サービスを利用する場合は、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)の作成が必要
介護サービス利用の開始 介護サービス計画にもとづいた、さまざまなサービスが利用可能

 

通常、要介護の申請から認定の通知まで、「30日」ほどの期間がかかります。

 

[注1]厚生労働省「サービス利用までの流れ」

 

介護サービスを利用できる2つのケース

 
介護サービスを利用できる2つのケース
 
要介護の認定結果は申請日まで遡って適用されます。

 

そのため、要介護者の病状が重く、確実に要介護認定が下りるケースでは、申請が完了した時点で介護サービスの利用を開始しても問題ありません。

 

また、市区町村に認められた場合、申請前に介護サービスを利用できるケースもあります。

 

たとえば、要介護者の病状が急激に悪化した場合など、やむを得ない事情があるケースです。

 

要介護の認定が下りるまでの間に介護サービスを利用したい場合は、すみやかに申請手続きを済ませるか、市区町村の担当者に問い合わせましょう。

 

介護認定前にサービスを利用するときの注意点

介護認定前にサービスを利用するときの注意点
 

要介護度の認定前にサービスを利用する場合、以下の「2点」に注意が必要です。

 

  • 認定が下りなかった場合はサービス費用が全額自己負担になる
  • サービス費用の全額をいったん自己負担しなければならない場合がある

 

認定が下りなかった場合はサービス費用が全額自己負担になる

 
認定が下りなかった場合はサービス費用が全額自己負担になる
 
要介護認定の申請を行えば、認定結果が通知される前であっても、1~3割の自己負担額で介護サービスを利用可能です。

 

ただし、要支援・要介護の認定が下りなかったり、想定したよりも介護度が低かったりした場合、サービス費用の自己負担額に影響が出ます。

 

認定が下りなかった場合(介護度が自立の場合) サービス費用は全額自己負担
介護度が想定よりも低かった場合 サービス費用の差額が自己負担

 

要介護の認定結果に納得がいかない場合は、以下の「2つ」の方法があります。

 

  • 審査結果を取り消すための申し立てをする
  • 要介護の区分変更の申し立てをする

 

一つ目は、都道府県の介護保険審査会に対して不服申し立てを行い、審査結果を取り消す方法です。

 

審査結果の取り消しまでに数カ月の時間がかかる点や、仮に申し立てが認められても、要介護認定の申請を始めから行う必要がある点に留意しましょう。

 

二つ目は、市区町村に対して要介護認定の区分変更を申し立てる方法です。

 

審査結果の取り消しと違って、区分変更の申し立てはいつでも行うことが可能です。

 

ただし、申し立てを行っても、市区町村の基準によって区分変更が認められない場合があります。

 

サービス費用の全額をいったん自己負担しなければならない場合がある

 
サービス費用の全額をいったん自己負担しなければならない場合がある
 
要介護認定の申請を行う前に介護サービスを利用した場合(市区町村に認められた場合)、サービス費用の全額をいったん自己負担しなければなりません。

 

介護サービスの量や要介護者の介護度によっては、一時的に多額の出費が発生する可能性があります。

 

たとえば、要介護5の人が特別養護老人ホーム(特養)で多床室を利用する場合の料金です。[注2]

 

要介護5の人が多床室を利用した場合(自己負担1割)

施設サービス費の1割 約2万5,200円(847単位×30日=2万5,410円)
居住費 約2万5,650円(855円/日)
食費 約4万3,350円(1,445円/日)
日常生活費 約1万円(施設により設定されます。)
合計 約10万4,200円

 

要介護5の人が多床室を利用した場合(全額自己負担)

施設サービス費 約25万2,000円(847単位×10円×30日=25万4,100円)
居住費 約2万5,650円(855円/日)
食費 約4万3,350円(1,445円/日)
日常生活費 約1万円(施設により設定されます。)
合計 約33万1,000円

 

全額自己負担の場合、そうでない場合よりも約20万円支払いが多くなります。

 

ただし、後で要介護認定が下りた場合は、市区町村から規定の額が払い戻されるため安心してください。

 

この仕組みを「償還払い(しょうかんばらい)」と呼びます。

 

[注2]厚生労働省「サービスにかかる利用料」

 

介護認定前にサービスを利用する方法

介護認定前にサービスを利用する方
 

介護認定前にサービスを利用する場合、ケアマネジャーと相談して「暫定ケアプラン」を作成する必要があります。

 

暫定ケアプランを作成せずに介護サービスを利用した場合、サービス費用の全額をいったん自己負担しなければなりません。

 

暫定ケアプランは、老人ホームなどの施設でサービスを利用する際にも必要です。

 

また、要介護認定の申請を行うと、介護保険資格者証が発行されます。

 

介護サービスを利用する際は、サービス事業者に介護保険資格者証を提示しましょう。

 

【まとめ】介護認定前でもサービスを利用可能!手続きの流れを確認しよう

 
介護認定前に介護が必要になっても、介護サービスを利用できるケースがあります。

 

たとえば、要介護認定が下りることが明らかな場合、申請後の時点で介護サービスの利用を始めても問題ありません

 

また、要介護者の病状が急に悪化したケースなど、やむを得ない事情が認められる場合、申請前の時点で介護サービスを利用できる可能性があります。

 

ただし、後で要介護認定が下りなかった場合、その間のサービス費用は全額自己負担となるため注意してください

 

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